1986 Fiscal Year Annual Research Report
新生児脳室内出血発症に先行する脳内の形態変化に関する研究
Project/Area Number |
61570812
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
越野 立夫 日本医大, 医学部, 助教授 (80089747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 隆 日本医科大学, 医学部, 助手 (20180036)
小川 隆吉 日本医科大学, 医学部, 助手 (20177132)
朝倉 啓文 日本医科大学, 医学部, 講師 (30167879)
若麻績 佳樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (50158573)
|
Keywords | subependymal hemorrhage / intra ventr / cular hemorrhage / rat / fetus / brain / micromorphology / glycogen |
Research Abstract |
新生児脳室内出血の発症因子を検討するために、胎齢17日,19日,21日のラット胎仔を用いて経胎盤的に乏血負荷をくわえ、出血好発部位である脳上衣下層の変化を超微形態学的に観察した。また、同時に胎仔の脳組織中の糖代謝の変化についても生化学的に測定した。えられた結果は以下のごとくである。 1.超微形態学的観察 1)ラット胎仔脳上衣下層は細胞間質や繊維成分に乏しく、また、細胞間接合も未発達であり、支持構造が脆弱であった。2)細胞内小器官に関しては、胎齢17日の脳上衣下層ではポリゾームが主体であり未分化な状態にあった。一方、胎齢19日,21日の脳上衣下層では、ゴルジ装置,糸粒体,粗面小胞体などの小器官の増加やフィラメントの出現などが観察され分化、成熟が進んでいることが認められた。3)乏血負荷の初期では、毛細血管周囲を中心とした細胞間隙の拡大所見が認められた。これらの所見は、毛細血管透過性の変化とこれにともなう細胞間浮腫の出現を示していると考えられた。また出血の進展に対しては細胞の未熟性も関与している可能性が示唆された。 2.生化学的測定 1)単位湿重量あたりの脳グリコーゲン含量は、胎齢17日から増加傾向を示し、19日に最大値となりその後21日向かって下降した。2)グリコーゲン合成酵素の活性は、胎齢による変化を認めなかった。3)グリコーゲン分解酵素の活性は、胎齢とともに上昇した。4)胎仔に乏血負荷を加えると胎齢17日,19日において脳グリコーゲン量の低下、グリコーゲン分解酵素活性の上昇を認め、乏血状態においてグリコーゲンが脳の機能を維持していくためのエネルギー源となりえることが示唆された。
|