1987 Fiscal Year Annual Research Report
新生児脳室内出血発病に先行する脳内の形態変化に関する研究
Project/Area Number |
61570812
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
越野 立夫 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80089747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 茂 日本医科大学, 医学部, 助手 (70185312)
角田 隆 日本医科大学, 医学部, 助手 (20180036)
小川 隆吉 日本医科大学, 医学部, 助手 (20177132)
若麻績 佳樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (50158573)
|
Keywords | Subependymal hemorrhage / intra ventricular hemorrhage / rat / fetus / brain / micromorphology / glycogen |
Research Abstract |
新生児脳室内出血の発症因子を検討するために, 本年度は, 低酸素症による脳上衣下層内の毛細血管内皮細胞の物質透過性の変化について超微形態学的に観察を行った. また, 脳室内出血の発症素因として, 脳組織の未熟性が関与すると考えられているが, この点について, 脂質代謝の面から検討を行うため実験を開始した. 得られた結果は以下のごとくである. 1)超微形態学的検討;家兎新生仔に透過性観察のマーカーとしてHRP(ホースラディシュペルオキシダーゼ)を静注し, 10分間の低酸素負荷を加え, 脳上衣下層および大脳皮質の毛細血管内皮細胞を電子顕微鏡にて観察した. また, 低酸素負荷を加えなかたものをcontrol群とした. その結果, control群では, 脳上衣下層と大脳皮質との血管内皮細胞に大きな形態の差は認められなかったが, 負荷群では, 脳上皮下層の血管内皮細胞において細胞空胞の変形, 凹凸不整が出現しており, 大脳皮質の血管内皮細胞に比して低酸素負荷の影響を受けやすいと考えられた. しかし, HRPの血管外への漏出はいずれの群でも認められなかった. 今後, 分娩時における胎児, 新生児にかかる低酸素負荷に近い条件で検討を行うとことが必要であると考えられた. 2)生化学的検討;母ラットに無脂肪食, 大豆食, n-3系脂肪酸欠乏食を与え, 胎会21日のラット胎仔脳における脂肪酸組成を検討した. その結果, 無脂肪食群では不飽和脂肪酸の含有量は明らかに少なかった. また, n-3系脂肪酸欠乏食群は大豆食群に比し, n-3系脂肪酸より合成されるドコサヘキサエン酸は著しく低下した. 不飽和脂肪酸含量は細胞膜の透過性に関与しており, 上記の結果を参考に各群における脳上衣下層の毛細血管の超微形態学的検討を行う予定である.
|