1988 Fiscal Year Annual Research Report
新生児脳室内出血発症に先行する形態変化に関する研究
Project/Area Number |
61570812
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
越野 立夫 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80089747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 茂 日本医科大学, 医学部, 助手 (70185312)
角田 隆 日本医科大学, 医学部, 助手 (20180036)
小川 隆吉 日本医科大学, 医学部, 講師 (20177132)
若麻漬 佳樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (50158573)
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Keywords | Sugbependymal hemorrhage / rabb:T / newborn / hypoxia / cap:llary permeab:l:ty / horserad:sh peroxdase |
Research Abstract |
新生児脳室内出血の発症因子を検討するために、すでにラット胎仔脳においては出血の好発部位である脳上衣下層の越微形態学的変化につき検討してきた。次に我々は更に詳しく低酸素症における脳室上衣下層の出血のメカニズムを解明すべく、出生直後の家兎新生仔の左心室内に蛋白トレーサーとしてHRP(ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ)を注入し、低酸素負荷後の経時的な上衣下層も毛細血管の透過性の変化を超微形態学的に検討した。実験にはN_2ガス吸入法を用いて5分、10分間の負荷を加えた。全例負荷直後は生存し、一部は動脈血ガス分析を行った。結果は以下の如くである。 1)新生仔家兎へのN_2BOXを用いた5、10分間の低酸素負荷により動脈血ガス分折ではPO_2、PH、BEは有意に低下し、PCO_2は有意に上昇した。 2)光顕的観察により出生直後の家兎新生仔脳において上衣下層は薄いながら存在した。5分、10分低酸素負荷では軽度の細胞浮腫は認められるが明らかな上衣下出血は認めなかった。 3)電顕的観察においてコントロールではHRPが血管内腔にとどまり、血管外への流出は認められなかった。一方5分低酸素負荷で、軽度の細胞間浮腫を認め、HRPの内皮細胞tight junction部への漏出を認めた。10分間低酸素負荷ではHRPがtight junction部を越えて血管外へ流出するのが観察された。 以上のことより、我々の実験モデルによる低酸素負荷により上衣下層毛細血管透過性の変化を怠起し、この変化は上衣下出血の最も初期微細変化であることが示唆された。
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