1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570822
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 壽一 京大, 医学部, 講師 (90176339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大八木 章博 京都大学, 医学部, 助手 (30177018)
土師 知行 京都大学, 保健診療所, 助手 (20145147)
玉城 進 京都大学, 医学部, 助手 (90163667)
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Keywords | Pause Neuron / 前庭神経核 / 急速眼球運動 |
Research Abstract |
脳幹〜橋網様体の中には急速眼球運動のコントロールに重要な役割を果している細胞群がある。その中で、外転神経核のやや吻側、正中近くに存在する網様体神経核の一群であるPause Neuron(PN)は眼振の緩徐相や、眼球の動いていない時に活動し、眼振の急速相や衝動性眼球運動の開始直前に活動を停止してこれらの急速眼球運動をコントロールするとされている。PNは、やはり網様体群の一群であり急速眼球運動のコントロールに重要な役割を果すとされているInhibitary Burst Neuron(IBN)やExcitatary Burst Neuron(EBN)を単シナプス性に抑制する。一方PNを刺激すると衝動性眼球運動や眼振の急速相は抑制される。このようにPNの役割、特に出力系に関してはいくつかの報告があるが、入力系は不明な点が多い。本研究では小麦胚芽凝集素とHorseradish Peroxidaseの結合体(WGA-HRP)を用い、PNへの入力系を組織学的に検討した。その結果PNへの入力は中脳から延髄に至る種々の部位に認められた。延髄レベルでは、巨大細胞網様核、小細胞網様核などの網様核、前庭神経内側核、前庭神経外側核、前庭神経下核、舌下神経前位核に認められた。橋レベルでは橋被蓋網様核、橋網様尾側核、橋網様吻側核、中脳レベルでは青斑核、背側縫線核、上丘からPNへ入力がある事が認められた。これらの入力系の中で前庭神経核群に特に注目し、前庭神経核とPNとの関係を電気生理学的に検討した。その結果前庭神経内側核及び外側核に存在する、水平半規管の刺激に反応するType【II】ニューロンが単シナプス性にPNに出力を送っている事が判明した。この結果、末梢前庭、視覚系からの入力が眼球運動として出力を送る際、前庭神経核→PNの閉鎖回路が眼球運動をコントロールする重要な回路であると考えられた。
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[Publications] Juichi Ito: Experimental Neurology. 91. 331-342 (1986)
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[Publications] 伊藤壽一: Equitibrium Research. 45. 252-255 (1986)
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[Publications] 伊藤壽一: Equlibrium Research.