1986 Fiscal Year Annual Research Report
辺縁性歯周炎の発生におけるプロスタグランディンの作用機序解明に関する病理学的研究
Project/Area Number |
61570858
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊集院 直邦 広島大, 歯学部, 助教授 (70028786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
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Keywords | プロスタグランディン / 辺縁性歯周炎 / ラット / 病理形態学 / 破骨細胞 / コラーゲン貪食 |
Research Abstract |
辺縁性歯周炎の病理発生に及ぼすプロスタグランディン(PG)の役割を形態学的な面から総合的に解明することを目的に、8週齢ウイスター系雄性ラットの上顎臼歯部歯肉溝よりPG【E_2】(1mg/ml 0.05%アルコール・生食水液)を投与し、1時間から1週間後に至る同部辺縁歯周組織を光顕・電顕・組織化学・免疫組織化学的に検索し以下の結果を得た。歯肉溝より投与したPG【E_2】はすみやかに付着上皮(JE)を通過し、JE細胞間の拡張、JE内及び直下への好中球の浸潤、上皮下結合織の血管拡張、水腫性変化等を惹起するとともに、歯根膜部に於て破骨細胞による盛んな歯槽骨吸収や線維芽細胞によるコラーゲン原線維の貪食作用の亢進を来した。破骨細胞数増加のピークは12時間から1日後に見られた。これらの変化は、同じ方法で投与したリポポリサッカライド(LPS)による変化と類似し、LPS投与時に於けるマクロファージ(Mφ)数が、投与後3時間から1日にかけて増加傾向を示したことから、LPSによって起される変化がMφによるPG産生等を介して惹起される可能性が示唆された。また、破骨細胞数の増加はPG【E_2】(1mg/ml)とLPS(5mg/ml)の連続投与により増強された。引き続き、PG【E_2】の濃度差による組織変化の違いを検討中である。また、PG【E_2】塗布により、線維芽細胞内や骨芽細胞間に、酸性ホスファテース陽性反応の増強が認められ、歯根膜コラーゲン線維の破壊との関連性が伺われ検討中である。一方、PGの局在分布の検出法に関しては、10%ホルマリン固定、凍結切片材料が最も良好な結果を示し、ラットの肝,賢,胃,肺,睾丸の実質細胞或は間質Mφに陽性反応が認められた。今後脱灰標本における検出法を検討し歯根膜に於けるPG【E_2】の局在分布を検索する予定である。Invitroの系を利用したPG【E_2】作用機序の解明に関しては、現在ラット歯根膜より線維芽細胞を継代培養する方法をほほ確立したところで、本細胞を用いて形態学的な面から検討中である。
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Research Products
(2 results)