1986 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイドによるヒト顎下腺由来上皮性腫瘍細胞の増殖抑制の研究
Project/Area Number |
61570862
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 節子 岩手医大, 歯学部, 助手 (70048495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐島 三重子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (40048575)
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / グルココルチコイド / 細胞増殖 / 細胞分化 / 株細胞 / 細胞肥大ヌードマウス / グルココルチコイドレセプター |
Research Abstract |
1.HSG細胞のDNA合成、倍加時間およびコロニー形成におよぼす効果を検索した。その結果、DEX(デキサメサゾン,合成グルココルチコイド)は【10^(-5)】M濃度を培地に添加することによって[【^3H】]-thymidineのとりこみを対照の45.5%に低下させ、倍加時間を対照(33.8±3.1)の1.5倍に延長させた。 2.HGS細胞を集めてホモゲナイズし、150,000×g、30分、遠心してcytosol画分とトリアムシノロン(合成グルココルチコイド)との結合量を測定し、Scatchard解析を行い、また競合的結合を行った。その結果、HSG細胞には解離定数6.5nM、結合定数57.8fmol/mg蛋白質(278fmol/mgDNA)の特異的なグルココルチコイドレセプターが見出れ、HSG細胞におよぼすグルココルチコイドの増殖抑制効果はレセプターを介する作用であることが示唆された。 3.DEX添加培地中で、HSG細胞は直径が増大し(【10^(-5)】Mで対照の1.29倍)、超微形態ではintracellular canaliculiが出現した。 4.HSG細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍の形成率、腫瘍の増殖率および腫瘍の組織形態におよぼす効果を検索した。その結果、【10^4】個移植群の中でDEX投与マウスには腫瘍の形成はなかったが、DEX非投与マウスに腫瘍が形成された(1/4匹)。【10^6】個移植群ではDEX投与、非投与いずれにも100%腫瘍が形成た。Ovejera et al(1978)による換算腫瘍重量を求めるとDEX0.05μg/gおよび0.25μg/g投与マウスともにその増加率が対照マウスに比して低下していた(移植後6週目、有意差p<0.05)。最小自乗法により求めた増殖直線の傾きからlog2/傾きによって換算腫瘍重量の倍加時間を求めると、DEX非投与マウスで9.27日、0.05μg投与マウスで10.72日であった。組織学的検索では0.25μg/gDEX投与マウスの腫瘍組織にはadenoid-likeな像が多数認められた(4/4匹)。adenoid様構造の内腔には、コロイド鉄陽性、HID陰性、ムチカルミン陽性の上皮性粘液のシアロムチンが貯留していた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 畠山節子: 医学のあゆみ. 137. 1101-1102 (1986)
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[Publications] R.Kurokawa: Biochemistry International. 13. 671-679 (1986)
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[Publications] S.Hatakeyama: Acta Pathol.Jap.37. (1987)