1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト顎下腺由来上皮性腫瘍細胞のグルココルチコイドによる増殖抑制機構に関する研究
Project/Area Number |
61570862
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 節子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70048495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐島 三重子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (40048575)
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / グルココルチコイド / グルココルチコイドレセプター / 細胞分化 / 細胞増殖阻害 / 細胞周期 / フローサイトメトリー / EGF / ヌードマウス |
Research Abstract |
(1)HSG細胞の細胞周期をフローサイトメトリーで解析した結果、対数増殖期の細胞のDNAヒストグラムは、G0-G1期、65.9±2.1、S期、18.5±1.9、G2ーM期、16.2±2.3%であった。1μM dexamethasone 16h処理によりG0-G1期細胞が71.3±2.3、S期細胞が11.8±1.5、G2-M期細胞が17.7±3.7%で、G0-G1期細胞の増加(p<0.01)とS期細胞(p<0.01)の減少が認められた。(2)G0-G1期にHSG細胞を同調培養し、その後、対照の増殖培地およびdexamethasone添加培地でS期への移行をみると対照培地では約3h後に、1μM dexamethasone処理では、約6h後にS期のピークが遅れてみられた。(3)DexamethasoneのG0-G1 arrest効果は血清あるいはsupplements(10μg/ml insulin,10μg/ml transferrin and 20μg/ml monoethanolamine)添加培地でのみ認められた。つまりglucocorticoidはHSG細胞の増殖の、血清中の増殖因子あるいはsupplementsによって促進される部分を調節すると考えた。(4)GlucocorticoidによるG0-G1 arrest効果は、EGF(10ng/mlor100ng/ml)を同時に添加することによって解除された。一方、conditioned medium(50%)では、その解除効果は明かではなかった。(5)HSG細胞に及ぼすglucocorticoidのG0-G1 arrest効果は1μg/ml cycloheximideを同時に培地に加えてタンパク質合成を阻害することによって、完全に消失した。HSG細胞はEGFを産生分泌していることは、既に知られている。GlucocorticoidはHSG細胞の増殖を抑制する物質の合成をinduceすることによって増殖を抑制し、cycloheximideは抑制物質の合成をブロックすることにより、glucocoricoidによって生じるG1 arrestを解除するという仮説はこれらの結果をよく説明できると考えた。そして、その増殖抑制物質はHSG細胞が分泌するEGFにきっ抗し、HSG細胞の増殖を調節していると考えた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Setsuko Hatakeyama: Cancer Res.
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[Publications] Setsuko Hatakeyama: Cancer. 62. 716-722 (1988)
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[Publications] Setsuko Hatakeyama: Acta Pathol Jpn. 37. 587-595 (1987)
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[Publications] 畠山節子 他: 医学のあゆみ. 137. 1101-1102 (1986)
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[Publications] Riki Kurokawa;Setsuko Htakeyama;et al.: Biochem Int.13. 671-679 (1986)