1986 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉溝上皮下における毛細血管新生及び内皮細胞変動機序に関する形態学的研究
Project/Area Number |
61570864
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野坂 洋一郎 岩手医大, 歯学部, 教授 (60048379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 朗 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80173459)
大沢 得二 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (00103747)
伊藤 一三 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (80048496)
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Keywords | 歯肉の毛細血管 / 毛細血管透過性 / 細胞骨格 / マイクロフィラメント / インターメディエイトフィラメント / 内皮細胞 |
Research Abstract |
ゴールデンハムスター臼歯部歯肉の付着上皮内の毛細血管係蹄は、外来刺激に対して特異的に反応し、係蹄の新生、増殖を来たした。このように新生・変動を来たし易い係蹄の構造を検索した結果、次のような特徴が判明した。1Endothelial projectionは血液が流速と方向を変更し、新生時に血管芽の出現する先端部の細胞膜の約25%を占めている。2.管腔側細胞膜におけるFenestra部分の長さの占める割合と、核を除いた細胞質におけるVesiclの面積の占める割合は両者共に係蹄の最先端部を過ぎた先端部静脈脚に最も多く出現する。その割合はFenestrae1.2%、Vesicle3.1%で他の部位の約2倍であった。このことから先端部静脈脚での物質透過を行なうのに有利な条件を作り出していることが判明したので、トレーサーを用いて検索した。その結果Fenestrae近くの管腔の外側に最も多量のトレーサーの貯留が認められた。正常な血管では、トレーサー注入後15秒後に、トレーサーは管腔外に漏出しているが、実験群における新生毛細血管壁は、トレーサーの漏出速度が更に速やかとなり、15秒後には、上皮細胞間隙にまで浸入している。特にトレーサーの分子量の小さなものは、Vesicleより、Fenestraの直下に多量に漏出していることから、両者共に輸送にかかわっているが、Fenestraeの関与が大きいことが判明した。培養内皮細胞を用いた、内皮細胞の細胞骨格の分布・配列は、核周囲と細胞辺縁に沿って配列し、特にmicro filamentsは細胞の長軸方向に配列している。intermediate filamentsは核周辺部に特に多く分布している。増殖中の内皮細胞中には、細胞長軸に平行に走向するストレスファイバーが出現し、細胞の遊走性が強いことがうかがわれる。内皮細胞の増殖能力を抑制するプロタミンを与えると、micro filamentsが細胞内に高密度に増殖するが、決まった方向性は認められない。そこで細胞の遊走性が低下している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 藤村朗: The Bulletin of Tokyo Dental College. 28. 23-33 (1987)
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[Publications] 藤村朗: 歯科学報. 87. 313-335 (1987)
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[Publications] 藤村朗: 歯科学報. 87. 336-358 (1987)
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[Publications] 野坂洋一郎: 歯科基礎医学会誌. 29. (1987)