1986 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内常在菌菌体物質によるリンホカイン産生増強作用の機序の解析
Project/Area Number |
61570865
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
奥村 晴一 東北歯大, 歯学部, 教授 (80083426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪田 浩子 東北歯科大学, 歯学部, 助手 (00166571)
根本 貴英子 東北歯科大学, 歯学部, 助手 (30172761)
新田 敏正 東北歯科大学, 歯学部, 助教授 (20104317)
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Keywords | 歯周疾患患者 / リンパ球活性化 / Bacteroides gingivalis |
Research Abstract |
歯周疾患の誘発及びその経過に口腔内常在菌とその菌に対する免疫応答が重要な役割を持つことはよく知られている。歯周疾患患者のTリンパ球が正常人のものに比べ著しく活性化されていることはすでに明らかにした。しかしこの活性化がどのような機序で起こり細胞が増殖するのかは不明である。そこでこれらの問題を明らかにする目的から、まず歯周疾患関連口腔内細菌を抗原とするTリンパ球活性化のモデルをマウスで作製するために種々な抗原(菌体抗原としてE.coli,St.aureus,B,gingivalis,C.albicans,異種赤血球抗原として馬及び羊赤血球)をマウス腹腔内に投与し、そのマウス脾臓細胞や腹腔滲出細胞を用い、種々に精製した細胞群による抗原共存下での細胞培養を行い、【^3H】-TdRの取り込みを指標にTリンパ球の分裂を検討した。その結果、次のような成績を得た。(1)一定量(細菌抗原500μg,赤血球抗原は1×【10^8】cellsまたC.aloicansは1×【10^7】cells)の抗原を投与されたマウスの7〜12日後の腹腔滲出細胞(PEOs)のナイロンファイバー通過細胞がそれぞれの抗原特異的なT細胞分裂が認められること、脾臓細胞では特異的なT細胞の分裂は弱いことが認められた。(2)抗原を投与されたマウスのPECsは、抗原を共存させなくても正常マウスのものに比べ高い【^3H】-TdRの取り込みを示した。(3)抗原を投与されたマウスの脾臓細胞は抗原による【^3H】-TdRの取り込み増加は極めて弱いが非特異的なmitogen(Con A)によるT細胞の分裂は著明に高められる。(4)細菌抗原の中でB.gingivalisを投与されたマウスがB.gingivalisによる抗原特異的なT細胞分裂が極めて強く行われることが認められ、Con Aに対する反応も高められた。以上の成績から細菌抗原に特異的なT細胞分裂の系が確立され、新たにB.gingivalisにより感作T細胞分裂増強が認められることが明らかになった。
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