1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570866
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
内海 順夫 城西歯大, 歯学部, 教授 (20049357)
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Keywords | 歯髄の病的石灰化 / 移植歯髄 / 多糖の局在 / レクチン反応 / PA-TSC-SP法 / 電顕細胞化学 |
Research Abstract |
歯髄の病的石灰化の成り立ちの一端を検討するため移植歯髄をモデルとし、PAS,Alcian blue,HID,レクチン(Con A,WGA,DBA,RCA-1,PNA)反応を光顕的に検討した。また電顕的にPA-TSC-SP法を応用し、多糖の石灰化との関連性を追求した。その結果、つぎのような知見を得た。 光顕的に明らかな石灰化をみる移植5〜7日の試料で、石灰化部はPAS,Al-cian blue,HID染色で、それぞれ明らかな陽性を示した。これらの所見から、とくに石灰化のfrontではacidic Proteoglycanの存在ならびにPAS,HIDの所見から中性多糖とsulfate carbohydrateが少量存在することを明らかにした。一方、レクチン反応所見からWGA陽性所見が石灰化frontでみられ、RCA-1とconAは陰性ないし弱陽性で、その他のレクチンは陰性であった。この所見からWGAが石灰化と強い関連を示し、とくにN-acetyl-D glucosamineないしsialic acidを有するProteoglycanで構成されていることが元唆された。また電顕細胞化学的に石灰化と多糖との関連を檢討し、とくにPA-TSC-SP法の応用から次の知見を得た。すなわち、移植2〜5日で歯髄細胞で陽性所見を呈するが、7日以降では陰性となる。このことは移植2〜5日で細胞内グリコーゲン顆粒ないし物質の増量が示唆され、細胞間質ではフィラメント様構造ないし線維構造が陽性を示した。また石灰物の基質の線維構造が陽性であった。このような所見からグリコーゲンやproteoglycanをもつ線維構造ないしフィラメント様構造が石灰化物の基質の形成に重要な意義をもつものと考えられる知見を得た。 今後は糖と脂質と間連を従来のものより、さらに詳細に検討し、石灰化のinitiationとしての石灰化基質が病的石灰化の場合に、どのような態度を示すかを電顕組織化学的に検討したい。また、レクチンの電顕的檢討についても行ないたい。
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