1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570872
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
亀山 洋一郎 愛知学院大学, 歯学部・病理学教室, 教授 (70113066)
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Keywords | 動物 / 舌 / プラスタグランジン / 創傷 |
Research Abstract |
本研究は, 実験的にプロスタグランジンE_1あるいはプロスタグランジンE2_2を塗布した歯肉の切創部の治癒過程にみられる変化, 特に上皮と結合組織の境界部の治癒過程の変化を電子顕微鏡的に検索する目的で行った. 観察結果. ラットの歯肉に切創を形成し, 対照群では切創部を無塗布(a群)とした. 一方, 実験群では切創部に10%アルコール(b群), 1%プロスタグランジンE_1(c群), プロスタグランジンE_2(d群)をそれぞれ1分間塗布した. a群では, 4日の切創部では, 上皮の基底細胞下に一層のベーサル・ラミナがよく観察された. しかし, ところによっては基底細胞から結合組織中に下垂して, 肥厚や断裂, あるいは複雑な多層化を示すベーサル・ラミナが観察された. また, ほとんどベーサル・ラミナが消失している部分もみられた. 6日では, ベーサル・ラミナの断裂や肥厚, あるいは複雑な多層化を示すところは少なくなっていた. b群では, 4日と6日の切創部の所見は, a群のものとほぼ同様であった. c群では, 4日の切創部では, 上皮の基底細胞下に一層のベーサル・ラミナの認められるところは少なく, ベーサル・ラミナの肥厚や断裂, あるいは複雑な多層化を示すところや, ベーサル・ラミナが消失しているところが, a群のものよりも著明に認められた. 6日では, 基底細胞下に一層のべ-サル・ラミナの存在するところが多くはなっていたが, まだ, ベーサル・ラミナが複雑な多層化を示すところもよく認められた. 6日では, 基底細胞の細胞質の一部が結合組織中に球形状に突出しているところもみられた. d群では, 4日と6日の切創部の所見は, c群のものとほぼ同じであった. 以上の結果から, プロスタグランジンは電顕的に歯肉の創傷治癒にかなりの影響をおよぼすことが判明した.
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