1986 Fiscal Year Annual Research Report
飲食物摂取時の口顎領域の活動を制御する中枢神経機構
Project/Area Number |
61570882
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 阪大, 歯学部, 講師 (60028793)
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Keywords | 味覚 / 大脳皮質 / 感覚野 / ニューロン活動 / 慢性記録実験 / 摂食行動 / 飲水行動 |
Research Abstract |
ラットの大脳皮質味覚野に、微細金属電極(直径25μmの白金-イリジウム線)を埋め込み、手術からの回復後、動物が各種の味溶液、固型飼料などを自由に摂取しているときの大脳皮質ニューロン活動を記録した。味応答性ニューロンに対する他の感覚種の刺激効果を調べるため、口腔領域の触や温度刺激(体性感覚刺激)、におい刺激(アーモンド臭,酢酸臭)や、内臓刺激(LiClの腹腔内投与)などの刺激も行なった。記録後は、記録電極を介して電気刺激を行ない、遠心性の刺激効果を検討した。 味応答性ニューロンは、動物の嫌う溶液(塩酸,キニーネなど)と、好む溶液(蔗糖など)との間で異なった応答態度を示すものと、ある特定の味に特異的に応じるものに分類された。後者には、ラットの固型飼料の味によく応じるニューロンも見出された。約1/4のニューロンは、味刺激のみならず、口腔領域の体性感覚刺激にも同時に応じたが、におい刺激や、内臓刺激に応じたニューロンは、ごくわずかであった。動物が自発的に溶液を摂取したときと、口腔内に人為的に溶液が注入されたときで、異なった応答パターンを示すニューロンも存在した。 味応答が記録できた電極を介して、矩型波パルスの連続電気刺激(10〜20Hz,100μA以下)を行なうと、咀嚼筋、舌筋支配の各運動神経、顎下腺支配副交感神経性筋前線維から、相動性、持続性の神経放電が記録できた。組織学的検索により、これらの刺激(記録)部位は、無顆粒性島皮質に存在していた。 以上、本年度の研究結果から、味応答性ニューロンの約1/4は、体性感覚性の入力も受けること、遠心性の働きとして、咀嚼運動発現に重要な役割りを演じていることなどが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山本隆: 歯科基礎医学会雑誌. 28(補冊). 190 (1986)
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[Publications] 松尾龍二,山本隆,清光義隆,北村龍二: 味と匂のシンポジウム論文集. 20. (1986)
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[Publications] 山本隆,松尾龍二,清光義隆,北村龍二: 味と匂のシンポジウム論文集. 20. (1986)
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[Publications] 山本隆,松尾龍二,清光義隆,北村龍二: Neuroscience Research. (1987)
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[Publications] T.Yamamoto;N.Yuyama: Brain Research. 400. 312-320 (1987)