1986 Fiscal Year Annual Research Report
各種感覚に対する特異的感覚情報伝達物質の存在の有無について
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61570883
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米原 典史 阪大, 歯学部, 助手 (70124534)
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Keywords | substance P / 第一次求心性線維 / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 歯髄電気刺激 / push-pull cannula / morphine / met-enkephalin |
Research Abstract |
一次求心性線維には、substance P(SP)をはじめとして数種のペプチドが存在することが免疫組織化学的研究より明らかにされている。本研究では、これらのペプチドが感覚特異性を有する情報伝達物質として各種感覚刺激により一次求心性線維から特異的に遊離されているのではないかという考えに基づき、本年度は、主として三叉神経系の体性感覚第一次中継核である脊髄路核(痛覚と温度感覚の第一次中継核)での感覚情報伝達機構における一次求心性線維含有ペプチドの役割について検討した。雄性家兎を用い、三叉神経脊髄路核尾側亜核浅層領域にpush-pull cannulaを挿入、人工脳脊髄液にて灌流し、歯髄刺激時、灌流液中に遊離される一次求心性線維含有ペプチドの変動を検討した。 1.この遊離ペプチドの同定および定量のため一次求心性線維に関連するペプチドの抗体作製を行い、met-enkephalin(met-Enk)、SPおよびsubstance K(SK)に、それぞれ高い親和性を有する抗体を得た。 2.40V,100Hz,0.5msec持続,5pulses/train,repetition rate 2Hzの歯髄電気刺激により著明なSPならびにmet-Enkの遊離が観察された。10Vの刺激では変化が認められなかった。 3.40V電気刺激に伴うSP遊離の増加は、麻薬性鎮痛薬であるmorphine(10mg/kg)の静脈内投与およびmet-Enkの類似体で比較的安定な〔D-【Ala^2】,【Met^5】〕enkephalinamideにより著明に抑制された。またこのmorphineの抑制効果は、opiate拮抗薬であるnaloxoneにより著明に拮抗された。 4.刺激に伴うSP遊離増加はserotonin(5-HT;【10^(-4)】M)の灌流液中への添加により著明に抑制されたが、noradrenaline(NE;【10^(-4)】M)添加では影響を受けなかった。以上の実験成績は、SPが歯痛伝導路の第一次中継核である三叉神経脊髄路核尾側亜核において痛覚情報を上位中枢へ伝える伝達物質である可能性を示唆している。加えてこのSP遊離を介する痛覚情報伝達は、内因性opioid系(enkeplalin system)ならびに5-HT系によって制御されていることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Norifumi Yonehara: European Journal of Pharmacology. 129. 209-216 (1986)
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[Publications] Norifumi Yonehara: Asia Pacific Journal of Pharmacology. 1. 69-72 (1986)
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[Publications] Norifumi Yonehara: Neurochemical Research. 11. 109 (1986)
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[Publications] Norifumi Yonehara: Japanese Journal of inflammation.