1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570887
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
辻本 明 広島大, 歯学部, 教授 (90034181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 敏博 広島大学, 歯学部, 助教授 (00034182)
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Keywords | 顎下腺 / 腺房細胞 / ムチン分泌 / cyclic AMP / カルシウム |
Research Abstract |
イヌおよびラット顎下腺単離腺房細胞におけるムチン分泌機序に関する薬理学的検索を行い、以下の成績を得た。顎下腺腺房細胞の単離はMcpherson and Dormer(1984)の方法に準拠して行った。即ち、5匹のラット或いは1頭のイヌ両側顎下腺をMcIlwain tissue chopperにて細片とし、collagenaseとhyaluronidaseを含むCa,Mg-free Hanks溶液中2時間振盪し、得られた細胞を遠心して精製した後【^(14)C】ーglucosamineを取込ませたものを実験に用いた。ムチン分泌反応は、5×【10^5】cell/mlの細胞浮遊液を37℃にてインキュベートし、遠心分離した上清に含まれるムチンをTCAーphosphotungustic acidにて沈殿させ、その放射活性を測定して求めた。 実験成績 1.アドレナリン作動性β受容体アゴニスト(isoproterenol,adrenaline noradrenaline)はムチン分泌を経時的に増加させた。又分泌は濃度依存的に増加し、3×【10^(-6)】〜【10^(-5)】Mで最大(自然遊離の約300%)となった。 2.Propranololはnoradrenalineによるムチン分泌を著明に抑制した。phenoxybenzamineは軽度抑制したが有意ではなかった。 3.細胞外【Ca^(2+)】-freeの条件下でもβ作動薬によるムチン分泌は観察された。 4.Dibutylyl cyolicAMP及びadenylate cyclase活性化薬であるforskolinは細胞外液【Ca^(2+)】存在下、非存在下共にムチン分泌を促進した。 5.細胞外液【Ca^(2+)】非存在下でcaffeine(50mM)はムチン分泌を軽度促進した。 6.【Ca^(2+)】イオノフォアであるionomycinでも弱いムチン分泌が認められた。 以上β受容体アゴニスト及びcyclic AMPによるムチン分泌反応には、細胞内Ca貯蔵部位より遊離する【Ca^(2+)】が重要な役割を果している可能性を示唆する結果を得た。【Ca^(2+)】influx,【Ca^(2+)】efflux及び膜電位は現在測定中である。
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