1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570890
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 隆 岩手医科大学, 歯学部・口腔生理学講座, 教授 (20048234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 範雄 岩手医科大学, 歯学部・口腔生理学講座, 講師 (90048562)
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Keywords | 第一体性感覚野 / SI / 歯髄駆動細胞 / 扁桃体条件刺激 / 痛覚受容 / 辺縁系 / 開口反射 / ネコ |
Research Abstract |
ネコの大脳皮質第一体性感覚領(SI)の口腔投射野で記録される歯髄駆動細胞の活動に及ぼす扁桃体およびその周囲皮質の条件刺激の効果、さらにその効果に関る神経路について調査した。 SIにおける単一細胞放電記録には笑気と酸素(2:1)および1.0%ハロセンで麻酔、curareで不動化したネコを用い、筋電図記録にはNembutal(30mg/Kg)で麻酔した動物を使用した。扁桃体条件刺激はduration 0.5msec,330Hz,50-500μAのパルスで100msecの間、連続的に行った。それらの刺激部位はPrussian blue法によってマーキングし、実験終了後組織学的に検索した。 扁桃体中心核および外側核の条件刺激はSIの歯髄駆動細胞の応答および自発放電にはまったく影響を与えなかった。一方、扁桃体の腹側に位置する扁桃周囲皮質periamygdaloid areaの条件刺激はSIで記録される歯髄駆動細胞の内、20msec以上の長い潜時で応じるS-typeの細胞10個中5個の応答(スパイク数)を約30ー80%抑制した。しかし、短い潜時で応じるF-typeの細胞にはほとんど影響を及ぼさなかった。また、F-typeに後期放電を伴うFa-typeの細胞に対しては、初期放電には著しい影響を与えないが、後期放電を60ー80%抑制した。これらの抑制効果は200ー600msec持続した。扁桃体からの主な遠心性神経路である分界条の電気刺激では上記の抑制を再現出来なかった。また、その抑制効果は分界条の破壊によって変化しなかった。同様に、歯髄刺激によって誘発された顎二腹筋の開口反射性筋電図活動に対する扁桃周囲皮質条件刺激の効果を調べたところ、その振幅は約40ー90%抑制された。 これらの結果は大脳皮質SIにおける歯髄性痛覚受容は扁桃周囲皮質の活動によって抑制され、その抑制は分界条以外の遠心路、恐らく腹側扁桃体遠心性線維を介して延髄レベルで起こっていることを示唆している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松本範雄,佐藤匡,沢野ひろみ,古和田一成,鈴木隆: 歯科基礎医学雑誌. 30抄録集. 251 (1988)
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[Publications] 松本範雄,川原田啓,佐藤匡,八幡文和,鈴木隆: 岩手医科大学歯学雑誌. 14. (1989)
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[Publications] Matsumoto,N.;Kawarada,K.;Sato,T.;Gotoh,H.;Suzuki,T.A.: Neurosci.Res.Suppl.8. (1989)
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[Publications] Suzuki,T.A.;Matsumoto,N.;Miura,I.: 31th International Congr.Physiol.Sci.(1989)