1986 Fiscal Year Annual Research Report
針刺激の鎮痛機序に関する視床下部弓状核ニューロンの生理学的研究
Project/Area Number |
61570893
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
半場 道子 昭和大, 歯学部, 講師 (40119251)
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Keywords | 針刺激 / 痛覚抑制 / 弓状核 |
Research Abstract |
ラット視床下部弓状核は、中脳中心灰白質をはじめとする痛覚抑制の諸中枢へ軸索を送り、かつ内因性痛覚抑制物質β-endorphinを脳内で最も多く含む重要な核であるので、鎮痛機序を探る対象とした。 1.検索した123個の弓状核ニューロンは、平均6.3Hzの自発放電頻度を有し全身に広い受容野を持ち侵害刺激に平均20Hzのインパルスを発して応答した。 2.ラット前肢合谷に針刺激(5ms,300μA)を3Hz,45Hz,100Hzの頻度でいずれも15分間加えると、歯髄痛み刺激による開口反射時の顎二腹筋放電の大きさを夫々約50%に抑制する鎮痛効果が長く持続するが、この後効果の時間経過と一致して弓状核ニューロンの自発放電活動に著しい変化が生じ、放電頻度が増大するニューロン(type【I】)と減少するニューロン(type【II】)が生じ変化を受けないニューロン(type【III】)はごく少数であった。 3.自発放電頻度の針刺激による増大もしくは減少効果は、Naloxoneの脳内微量注入(10μg/10μl)によって、共に拮抗された。またNaloxoneのiontophoresisによってtype【I】の自発放電頻度および侵害受容性応答の増大は拮抗されたが、type【II】では拮抗されなかった。 4.針刺激後の弓状核ニューロンの分布は、3Hz刺激ではtype【I】56%,type【II】40%,type【III】4%であり、45Hzでは27%,70%,3%,100Hzでは24%,73%,3%であって、低頻度ではtype【I】が、高頻度ではtype【II】が有意に増加した。 以上の実験結果から、弓状核ニューロンは末梢に加えられた侵害刺激に応答しかつ針刺激による鎮痛効果と深く関係することが示された。また低頻度刺激で増加するtype【I】ニューロンはopioid系の、高頻度刺激で増加するtype【II】ニューロンはnon-Opioid系の鎮痛機序と関係するものと考えられる。
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[Publications] Hamba,M;Toda,K.: Neurosci.Lett.17s. 138 (1984)
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[Publications] Hamba,M;Toda,K.: J.Physiol.Soc.Japan. 46. 456 (1984)
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[Publications] Hamba,M;Toda,K: Experimental Neurology. 87. 118-128 (1985)