1986 Fiscal Year Annual Research Report
歯根未完成歯の生活歯髄切断法に関する病理組織学的研究
Project/Area Number |
61570916
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
五十嵐 勝 日本歯大, 歯学部, 講師 (90168104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 佳代子 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (00177841)
朝比奈 壮郎 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (00175853)
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Keywords | 歯根未完成歯 / 生活歯髄切断法 / 組織変化 |
Research Abstract |
歯根未完成歯に生活歯髄切断法を施した場合の歯髄組織変化について、カニクイザルの歯を用いて実験を行った。ラバーダム防湿下の制腐的環境の下で、ラウンドバーにより機械的に歯髄を切断し、6%NaOClと3%【H_2】【O_2】にてchemical surgeryを行い、0.9%滅菌生食水で洗浄後、歯髄切断面に水酸化カルシウムと滅菌生食水のペーストを貼布した。実験歯は歯髄切断直後および水酸化カルシウム貼布直後、12hr,24hr,2day,3day,7day,15day,30day,60day,90day,120day後に抜歯され、直ちに4℃生食水中で歯科用ダイヤモンドジスクを用いて歯髄切断部上方で歯冠部をとり除かれた。歯根部はさらに中央付近で2分され、冷蔵庫内に取付けた電顕用ペネトレーターの4℃Karnovski液で固定された。固定された歯はさらに精密低速切断機アイソメットにてトリミングされ、EDTA液中にて室温で脱灰され、歯髄切断部の直下1/3,中央1/3,根尖1/3に分割後さらに光顕,電顕用ブロックに2分された。光顕用標本はアルコール系列脱水後パラフィン包埋がなされ、厚さ8μmの連続切片を作製後、各種染色(H-E,Masson,鍍銀,細菌染色,etc)が施された。一方電顕試料はOsmium後固定,脱水後,電顕用ポリマライザーで樹脂包埋した。 現在電顕,光顕試料を作製し観察中であるため、成績の総括はまだできないが、光顕所見のごく一部が得られている。充填物脱落により残存歯髄に細菌感染のみられた術後50日例では、歯髄に膿瘍形成があり庇蓋硬組織は全くみられなかった。切断部直下に庇蓋硬組織が形成されていた42日例では、硬組織直下歯髄の一部に出血巣があり、その部位に相当して菲薄な庇蓋硬組織を認めた。一方、術直後、12hr後例などの短時間例の検索も電顕所見と併せて行っているが、切断時の歯髄組織の損傷がきわめて大きいように思われた。次年度では、経時的な歯髄の細胞組織における修復変化を詳細にわたって明らかにする予定である。
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