1986 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療後の初期顎骨障害におけるbone remodelingの定量的解析
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61570955
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 実 広島大, 歯学部, 助手 (90116658)
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Keywords | 放射線障害 / 放射線骨障害 / 顎骨 / 骨改造現象 |
Research Abstract |
臨床例の観察から、放射線治療後障害の初期変化として、歯根膜腔の拡大と歯槽硬線の破壊が起こることが示されており、歯槽骨代謝に変化が生じていることを意味するものと考えられる。したがって、本研究では、放射線照射後に生ずる顎骨、特に歯槽骨の骨改造現象の変化について放射線量との関係から検討し、放射線治療後障害の発生にかかわる顎骨の量的ならびに質的変化を解明することを目的として、動物実験を行った。実験には、雄性ラットを用い、下顎臼歯部及び歯槽骨に限局してCo-60γ線照射を行った。組織線量は、20,40,60,80及び100Gyとし、実験期間はそれぞれについて、照射後6時間、1,3,6,14,26,54,110及び166日とし、実験期間を通じて蛍光物質によるラベリングを行い、各時点における歯槽骨改造現象の変化を非照射群を対照群として、非脱灰研磨標本について比較検討した。その結果、照射群では、蛍光物質によるラベリング面積の割合が照射後14ないし26日目に対照群と比較して明らかな減少を示し始めた。以後ラベル面積の割合の減少は経時的に一層明らかとなり、観察期間を通じて常に対照群よりも少ないラベル量を示めし、組織線量の大きさとよく対応していた。この結果から、放射線照射後には、組織線量に対応して歯槽骨に造骨機能の低下の現れることが明らかとなり、放射線骨障害の初期変化が骨組織への放射線の直接的影響により生ずることが示唆された。
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Research Products
(1 results)