1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61570999
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 信孝 京大, 薬学部, 助教授 (60109014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤路 健一 京都大学, 薬学部, 助手 (60142296)
舩越 奨 京都大学, 薬学部, 助手 (10135593)
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Keywords | ヒト腫瘍細胞増殖因子α / 【N^(ih)】-benzyloxymethyl histidine / ジスルフィド形成反応 / 癌診断 / トリメチルシリルトリフラート / タリウム(【III】)酸化 |
Research Abstract |
ヒト腫瘍細胞増殖因子α(hTGF-α)は腫瘍細胞により産生される因子で、オートクリン系により無血清培地中での腫瘍細胞の増殖を促すので、本因子と正常細胞の癌化および癌細胞の無性限の増殖との関連が注目されている。本研究は1984年DerynckらによりcDNAの解析により明らかにされたhTGF-αの一次構造に基き、アミノ酸50残基より成る本物質の液相法による全合成を行い、癌細胞の増殖に対する本物質の作用機構を検討するとともに合成品によるRIA系を調製し癌診断への応用等の基礎研究を行おうとするものである。 本年度は当初の実験計画に基き、以下の様に研究を進めた。 1.hTGF-αは分子内に6個のヒスチジン残基を含み、高収率で目的物を得るためにはこれを保護した形で合成を進める必要がある。そこでJonesらにより導入されたBom(beuzyloxymethyl)基の化学的性質を詳細に検討し、本保護基が通常のペプチド合成の条件下に安定であり、又最終段階において最近我々の開発したトリメチルシリルトリフラートを用いる方法で定量的に除去できることを明らかにした。 2.本物質は分子内に3個のジスルフィド結合を有し、効率良く目的の物質を得るためには正しい位置にジスルフィド形成を行う必要がある。そこで二つのタイプの新しいジスルフィド形成反応を検討し〔1.3価のタリウムを用いる方法,2.S-保護システィンスルホチシドを用いる方法〕、hTGFの全合成への基礎実験を行った。実際の合成において従来の空気酸化法と比較検討する計画である。 3.上記の基礎研究を基にhTGF分子全合成に必要な10個の区分ペプチド(1-5,6-11,12-15,16-19,20-23,24-31,32-34,35-37,38-40,41-50位)の合成をほぼ完了した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Fulii;A.Otaka;O.Ikemura;K.Akaji;S.Funakoshi;Y.Hayashi;Y.Kuroda;H.Yajima: J.Chem.Soc,Chem.Comunm.274-275 (1987)
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[Publications] N.Fujii;A.Otaka;S.Funakoshi;K.Bessho;H.Yajima: 163-164 (1987)