1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61571003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 和男 広島大, 医学部, 教授 (00034017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 博史 広島大学, 医学部, 助教授 (30136056)
大塚 英昭 広島大学, 医学部, 助教授 (00107385)
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Keywords | フィリピン / 薬用植物 / ムラサキ科 / Ehretia microphylla / 抗炎症 / マストセル / ヒスタミン / ローズマリー酸 |
Research Abstract |
フィリピンにおいて汎用される薬用植物の25種について次に述べる生理活性試験を行った。活性試験はラットの腹腔内より得られるマストセルに化学的刺激を与えた際に遊離するヒスタミン量に対する試料(植物エキス)の影響を測定し、その抑制率が抗炎症活性、抗アレルギー活性と良い相関を示すことからこれらの作用の指標と考えた。25種の内、特に4種類の植物に強い活性が見出された。活性を有する植物のうち、「チャングバ」とよばれるEhretia microphylla(ムラサキ科)を研究材料に選んだ。この植物はフィリピンにおいては腹痛,咳止め,その他抗炎症に関連する目的で多用され、その栽培,生薬製剤の製作にかんして政府が奨励している重要生薬である。この乾燥葉のメタノールエキスを濃縮し、溶解性により、水,ヘキサン,メタノール分画にわけ、活性の強いメタノール分画を各分画の活性を測定しながらダイヤイオンクロマトグラフィー,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分画すると、分画途上に不活性分画より、2種のフラボノイドが得られ、各種スペクトロスコピーにより、その構造をアストラガリン,ニコトフロリンと決定した。また、脂溶性分画より3種のトリテルペンを得、その構造をバウエレノール,α-アミリン,β-アミリンと決定した。活性の強い分画からは不安定なフェノール性カルボン酸(I)を単離した。Iは質量分析により360の分子量を持つことが分かり、【^1H】-NMR,【^(13)C】-NMR分析の結果Iは(+)-ローズマリー酸と推定され、標品との比較により同定した。ローズマリー酸は、ローズマリーをはじめ、シソ科の植物に含まれることが知られているが、この植物から得られたのは新事実である。ローズマリー酸は我々のヒスタミン遊離阻害試験に活性を有するのみならず、既に、抗炎症活性,タンニン活性が知られており、この植物の効果が生理学的に裏付けられ、しかも、活性本体が明らかとなった。
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