1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61571010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久野 拓造 熊本大, 薬学部, 教授 (90040302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 俊和 熊本大学, 薬学部, 助手 (50150545)
原野 一誠 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30037593)
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Keywords | ピリジンN-オキシド / シクロペンタジエノン / ペリ環状反応 / 脱カルボニル反応 / 分子内環化反応 / かご型化合物 / 力場計算 / ジエン |
Research Abstract |
表題の研究を遂行するにあたり、4π-シントン(合成子)として1,3-双極子であるピリジンN-オキシド類(【I】)およびジエンであるシクロペダジエノン類(【II】)を使用したかご状化合物の合成法の確立を企図した。IはN-置換マレイミド類と環化付加、ついで1,5-シグマトロピー転位を生起し、ヘテロジエン誘導体を与える。N-アリール誘導体に本反応を適用して分子内環化反応によるかご状化合物の合成を試みたが、最終段階の分子内付加反応が進行せず現在反応条件等を検討中である。一方、【II】を用いた反応においては各種の非共役ジエンとの熱反応において一次付加体を得ることができた。この付加体は溶融点まで加熱すると脱カルボニルを起こし、ジエン体を与えると同時にジエノフィルのもう一方のオレフィンとの間で分子内環化反応を起こし、Double Diels-Alder(DDA)付加体であるツイステンあるいはイソツイステン誘導体を与える、両異性体の生成比はオレフィン間のメチレン鎖の長さに依存することが判明した。環状非共役ジエンである1,5-シクロオクタジエンでは対称型のかご状分子を単離することができた。これらの結果に基ずきメチレンの一個を硫黄や酸素などのヘテロ原子に置換した非共役ジエンについても検討し、同様にDDA付加体を得ることができた。さらにオレフィンの一部をヘテロクムレンにかえた非共役ジエン類においてはヘテロかご状化合物を得ることができた。本合成反応の最終段階である分子内付加反応は熱許容の反応であるため条件によってはレトロDiels-Alder反応を起こし、ジエン体と付加体との平衡状態で反応が終結する場合がある。この点に関しては経験的力場計算を行い、歪エネルギーの評価により生成物の安定性予測が可能であることが判明した。これらの結果を基礎に機能性分子の構築を行っている。
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Research Products
(1 results)