1987 Fiscal Year Annual Research Report
尿毒症物質の研究(Na^+, K^+-ATPase抑制物質の検索)
Project/Area Number |
61571018
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
鈴木 真言 名城大学, 薬学部, 教授 (50103263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 いくみ 名城大学, 薬学部, 助手 (50177911)
原田 健一 名城大学, 薬学部, 講師 (90103267)
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Keywords | 本態性高血圧症 / 内因性ジギタリス様物質 / Na^+, K^+-ATPase抑制因子 / ナトリウム利尿因子 / 慢性腎不全症 / 血液透析 / 限外濾液 |
Research Abstract |
1.分離操作:健常人および維持透析を行っている慢性腎不全患者より血漿を得, これを酸性にした後加熱し, 超遠心にて徐タンパクを行い, 上清の血漿抽出液を得た. この血漿抽出液を逆相カートリッジ(Baker C18カートリッジもしくはODS-W)に付し, 水, メタノールの順にて溶出した. 次にこのメタノール溶出分画をTSK GEL TOYOPEARL HW-40Fに付した. 2.分離の指標としての生物検定法:NADH酸化法および無機リン酸定量法を用いた. 3.結果(1)血漿抽出液の抑制効果:33名の慢性腎不全患者より得られた血漿抽出液の抑制率は8.7±11.7%であり, コントロールとしての15名の健常人のそれ(4.3±3.1%)に比べて有意にNa^+, K^+-ATPase活性を抑制した(P<0.05). 従って, 慢性腎不全患者より得られた血漿抽出液中にはNa^+, K^+-ATPase活性を抑制する因子が存在すると考えられた. (2)メタノール溶出分画の抑制効果:慢性腎不全患者および健常人より得た血漿抽出液のメタノール溶出分画の抑制率は各々63.8%, 59.5%であった. 一方, 水溶出分画中には抑制効果が認められなかった. (3)ゲル濾過にて得た分画の抑制効果:得られたクロマトグラムをもとに, 慢性腎不全患者由来の溶出分画のNa^+, K^+-ATPase活性の抑制効果を検討した. その結果, fr65-122のピークに一致し, 88.1%の最も高い抑制率を得た. 対照としての健常人についてはfr70-122のピークに一致して高い抑制率が認められた. 4.考察:今回の研究で得られた, Na^+, K^+-ATPase抑制効果を有する分画には, バナジウムイオンは含まれていないことを確認したので, それ以外のNa^+, K^+-ATPase抑制因子がこの分画に含まれていると考えられた. 求める真のNa^+, K^+-ATPase抑制因子を検索する際には, 非特異的なNa^+, K^+-ATPase抑制因子群を識別する必要がある.
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