1988 Fiscal Year Annual Research Report
二次元NMR法による生体膜と薬物との相互作用に関する研究
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61571029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 義弘 京都大学, 薬学部, 助手 (90093236)
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Keywords | 局所麻酔薬 / ジブカイン / テトラカイン / 二次元NMR / 核オーバーハウザー効果 / リン脂質 / ベシクル |
Research Abstract |
1.薬物として局所麻酔剤であるテトラカイン、ジブカインの塩酸塩をそれぞれ取り込ませたレシチンベシクル溶液に関して(1)多量子遷移を利用した^1Hー^<15>Nシフト相関二次元NMRの測定はコリンメチル基プロトンとコリン基窒素とのスピン結合定数が小さい為現在スペクトルの観測がうまく出来ない状況にある。一方、二次元NOEスペクトルの観測結果は、一次元NOE差スペクトル法と比較して、イ)分子間NOEがほとんど検出されない、ロ)分子内NOE相関は、一次元法よりもはっきりと観測することが出来る。 このような特徴が有ることが解った。イ)は、分子間NOEが分子内NOEに比較してはるかに小さい(1ー2%程度以下)こと及び薬物と膜との相互作用系に於ける^1HーNMRスペクトルの線幅がブロードであり、2DーNOEの等高線表示法では微少なNOE交差ピークを検出出来ない為と考えられる。一方、ロ)は、薬物ーレシチンベシクル相互作用系のようにスピン拡散が起こりうるような測定試料の場合分子内NOEは比較的大きく、このような場合一次元NOE差スペクトル法に比して二次元NMR法の本来の利点、即ち特定のピークを照射する場合の近傍のピークへの照射漏れの心配が無い、重なり合ったNMRピークの中からでもNOE相関ピークを拾い上げる事が出来るといった特長が現われた為と考えられる。2.緩衝液存在下に於けるジブカイン、テトラカインとレシチンベシクルとの相互作用研究から得られた知見は、イ)ジブカインは、酸性(pH3.9)、中性(pH6.9)何れの場合もレシチンベシクルの内側には存在しにくい、これはかさばったジブカインの分子構造では、Packingの密な小さなベシクルの内側には安定に存在しにくい為であろう。ロ)テトラカインは酸性(pH3.9)溶液中に於て緩衝液の無い場合には見られなかった新しいNMRピークを示す、これは膜中へより深く進入したテトラカイン分子の存在を意味する。
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Research Products
(1 results)