1986 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドの生成と分解に関与する脳内プロテアーゼの研究
Project/Area Number |
61571041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横沢 英良 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90012765)
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Keywords | 神経ペプチド / ダイノルフィン / LHRH / P物質 / プロテアーゼ / システインプロテアーゼ / セリンプロテアーゼ |
Research Abstract |
1.ダイノルフィンの分解に関与するプロテアーゼ,(1)ニューロブラストーマ細胞をニューロンのモデルとして用い、その細胞膜標品によるダイノルフインの分解様式を解析した。分解に対する各種阻害剤の影響および各種阻害剤存在下での分解産物の解析から、ダイノルフィンの最初の分解に、N-エチルマレイミドで阻害されるシステインプロテアーゼとジイソプロピルフルオロリン酸で阻害されるセリンプロテアーゼが関与すると推論した。(2)ニューロブラストーマ細胞から両プロテアーゼの単離を試みた。セリンプロテアーゼの場合は、大豆トリプシンセファロースを用いたアフィニティクロマトグラフィにより、【Arg^6】-【Arg^7】結合と【Lys^(11)】-【Leu^(12)】結合を切断する分子量3.3万のトリプシン様酵素の単離に成功した。一方、システインプロテアーゼについては、P-クロロメルクリ安息香酸セファロース・クロマトグラフィや各種担体を用いた高速液体クロマトグラフィにより、2種類の酵素を単離した。ひとつは、【Arg^6】-【Arg^7】結合を切断する分子量10万の酵素で、他方は、【Lys^(11)】-【Leu^(12)】結合と【Leu^(12)】-【Lys^(13)】結合を切断する分子量6万の酵素である。前者の基質特異性は厳格で、Arg-Argという塩基性アミノ酸対のみを認識し、他の塩基性アミノ酸対を認識しないという興味ある知見が得られた。今後、この酵素の脳内分布を調べることが課題である。 2.P物質分解酵素については、この酵素に対する特異的親和性吸着体の調製を行った。現在、目的とする酵素の精製を試みている。3.LHRH分解酵素,(1)ダイノルフィンの分解に関与するシステインプロテアーゼの場合と同様の手順で、LHRHの最初の分解に関与すると考えられる酵素の単離を進めている。(2)ニューロブラストーマ細胞膜へのLHRHの特異的結合を調べた結果、予備的であるが、レセプターの存在が示された。今後、LHRHレセプターを単離することが課題である。
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[Publications] Hideyoshi Yokosawa: J.Neurochem.48. 293-298 (1987)
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[Publications] Mitsuo Satoh: Biochem.Biophys.Res.Commun.140. 335-341 (1986)
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[Publications] Takeshi Kato: Neurosci.Res.(1987)