1986 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球マイトーゲン受容体の機能とその分子レベルでの解析
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61571045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 聡 東大, 薬学部, 助教授 (40092283)
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Keywords | リンパ球活性化 / マイトーゲン受容体 / 抗ConA結合性膜糖蛋白抗体 / PI-ホスホリパーゼC / GTP結合蛋白 |
Research Abstract |
1.マウスリンパ球表面に存在するコンカナバリンA(ConA)結合性膜糖蛋白に対するモノクローナル抗体(C-11)を調製した。C-11は、ConAによるリンパ球活性化を増強したが、抗【T_3】抗体による活性化には影響しなかった。従来ConA受容体は、【T_3】抗原ではないかと推定されていたがこの結果は、それを支持するものではなかった。一方マウスリンパ球膜より可溶化したConA結合性膜蛋白画分のC-11による免疫沈降物には、弱いながらPI-ホスホリパーゼC活性が見られた。この事実は、リンパ球活性化シグナル発現で重要な役割を有するイノシトールリン脂質代謝の鍵を握る酵素であるPI-ホスホリパーゼCが、C-11により認識されるConA結合性膜糖蛋白と親和性を有すると考えられ、受容体の機能を考える上で興味深い。 2.受容体へのマイトーゲンの結合に伴うホスホリパーゼC活性化の機作を検討した。その結果、細胞膜レベルではGTP類似体によりPI-ホスホリパーゼC活性が上昇することが判明した。しかし、intactリンパ球にGTP類似体をとりこませた系では再現性のある結果が得られなかった。ConAの受容体への結合に伴うホスホリパーゼCの活性化にGTP結合蛋白が真に関与するかどうかについては、膜蛋白をとりこませたリポソーム再構成系を用いてさらに検討中である。 3.マウスリンパ球から可溶性および膜結合性PI-ホスホリパーゼCをそれぞれ1800倍,1400倍精製した。これらの酵素は、いずれもPIのみでなくPI【P_2】分解活性も有していた。PI分解の至適pHは約6,PI【P_2】分解の至適pHは、中性付近であった。一方PI分解における【Ca^(2+)】依存性は高く、mMオーダーの【Ca^(2+)】を必要としたが、PI【P_2】分解では1μM以下で十分活性が見られた。以上の結果は、生理的条件下では、PI【P_2】の方がPIよりもPI-ホスホリパーゼCにより分解されやすいことを示唆する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Denis,G.V.: Biochim.Biophys.Acta. 46. 136-145 (1986)
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[Publications] Kamisaka,Y.: Arch.Biochem.Biophys.249. 569-578 (1986)
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[Publications] Wang,P.: J.Biochem.100. 1015-1022 (1986)