1986 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠-覚醒調節系および脳-内分泌調節系におけるピペリジンの役割に関する研究
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61571055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮田 健 熊本大, 薬学部, 教授 (90040310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浜 和夫 熊本大学, 薬学部, 助手 (80150548)
岡野 善郎 熊本大学, 薬学部, 講師 (50040316)
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Keywords | ピペリジン / 睡眠 / 脳一内分泌 / マスフラグメントグラフィー / イオントフォレシス / ピペコリン酸 |
Research Abstract |
ピペリジンが睡眠関連GHを遊離させる作用をもつことは既に報告したが、本年度はラジオイムノアツセイによるプロラクチンの定量を行い、ピペリジンの脳室内微量注入により下垂体からの著明な遊離が起こることを新しく見出した。またピペリジンの睡眠誘発作用の一部には脳内オピオイドペプタイド(特にendorphine)が関係していることを示唆する成績が得られた。ピペリジンの作用の細胞レベルでの解析では、特に海馬錐体ニューロンにおいてニコチン類似の興奮および抑制作用が強く現れること、その作用は【Ca^(2+)】-free,high-【K^+】medium中では減弱することなどから、一部脳内存性アセチルコリンの遊離を介していることを推定した。さらにピペリジンの前駆物質であるピペコリン酸は脳内GABA系の機能に特異的に影響を与え得ることを皮質ニューロン,海馬錐体ニューロンの双方において証明し得た。即ち、ピペコリン酸の微量投与(イオントフォーレシス)によりGABAによるニューロンの抑制は著明に増強され、その作用はビキュキュリンによって特異的に拮抗された。グリシンの作用はピペコリン酸によって全く影響をうけなかった。同時にGC/MS/COMを用い、ピペコリン酸が皮質、海馬に局在して存在すること、また関連物質として従来その脳内存在については不明であった4-ハイドロキシプロリン,5-ハイドロキシピペコリン酸を同定、定量し得た。その他ピペリジンの生理・薬理作用を追求する過程において、ピペリジンが脳内分泌のみならず種々の分泌機能に影響を与えること、ピペリジノ基含有化合物の中に特に気道分泌を促進させ去痰薬として応用可能なものが存在することなどを見出した。これらの知見はNeuropharnbcol,Anal,Biochem,Arch,int,Pharmacodyn等に5編の論文として、又、Elsevier社から出版されるモノグラフに総説としても発表した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Takahama;T.Hashimoto;Y.Okano;T.Miyata: Neuropharmacology. 25. 339-342 (1986)
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[Publications] 宮田健,甲斐広文,岡野善郎,高浜和夫: 日本薬理学雑誌. 88. 57-64 (1986)
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[Publications] K.Takahama;K.Satoh;Y.Okano;T.Miyata: Neuropharmacology. 26. (1987)
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[Publications] T.Miyata;H.Kai;Y.Okano;K.Takahama: Archives internationales de Pharmacodynamie et de Therapie. 287. (1987)
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[Publications] T.Miyata;Y.Okano;K.Takahama;J.Nagata: Analytical Biochemistry. (1987)
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[Publications] K.Takahama;E.Kikuchi;Y.Okano;T.Miyata: Brain Research.
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[Publications] T.Miyata;K.Takahama;T.Irie;K.Uekama: "Phenothiazines and 1,4-Benzothiazines" Elsevier, 622 (1987)