1986 Fiscal Year Annual Research Report
メラノーマ特異ガングリオシド抗原の発現調節機構の解明
Project/Area Number |
61571056
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Research Institution | Shizuoka College of Pharmacy |
Principal Investigator |
平林 義雄 静岡薬大, 薬学部, 助手 (90106435)
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Keywords | ガングリオシド / 腫瘍抗原 / メラノーマ / シアリルトラントフェラーゼ |
Research Abstract |
B16マウスメラノーマは、メラノーマ種属間共通抗原である【GM_3】ガングリオシドを細胞膜表面上に表現している。B16メラノーマ細胞中には【GM_3】生合成に関与しているシアリルトランスフェラーゼが存在しており、その比活性は対照細胞に比べて 百倍以上、活性が上昇していることを見出した。シアリルトランスフェラーゼは膜結合酵素であり、精製の困難なタンパクの一つである。現在まで、その完全精製は成されていない。 B16メラノーマは、本酵素精製のよい出発材料である。B16メラノーマを大量に調製し、本酵素の精製を試みた。この酵素は膜に強く結合した酵素で活性はミクロソーム画分に回収された。0.5%のTritonX-100 or CF-54により全活性の約30%が可溶化された。この可溶化画分をハイドロオキシアパタイト,Q-セファロースカラムクロマトグラフィーにより、約50倍部分精製することが出来た。最終的な精製は、lactosyl ceramideを不溶化したAffinityカラムクロマトグラフィーにより行なった。酵素活性の一部は、カラムに吸着され、pH7.0の溶出液により回収することができた。精製画分は、充分なタンパク量が無いため、正確な比活性を求めることが出来なかった。今後、出発材料を更に大量に調製し、完全精製を試みたいと考えている。 本酵素の経適pHは 5.3,二価イオンは要求せず、また、lactosylceramide以外にも、asialo【GM_3】,Gal-cer,paragloboside に対しても転移活性を有していた。また、アシアロムチンに対しても合成活性を有していた。これらの活性が、複数の酵素によるのか否かも、今後検討していきたいと考えている。
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[Publications] 谷口克,平林義雄: Yakugaku Zasshi. 106. 1084-1091 (1986)
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[Publications] H.Sakiyama;Y.Hirabayashi;T.Takahashi;M.Taniguchi: Cell.Struct.Func.(1987)
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[Publications] Y.Hirabayashi;M.Matsumoto;H.Higashi: J.Am.Oil Chem.63. 421-422 (1986)
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[Publications] 平林義雄,土屋浩司,鈴木康夫,松本亮,崎山比早子: 日本脂質生化学研究会. 28. 189-192 (1986)