1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨髄性白血病細胞を分化誘導するタンパク性因子とその作用増強に関する研究
Project/Area Number |
61571067
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
武田 健 昭和大学, 医学部, 助教授 (80054013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巌本 三寿 昭和大学, 医学部, 助手 (50176567)
坂上 宏 昭和大学, 医学部, 講師 (50138484)
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Keywords | ヒト骨髄性白血病細胞 / 分化誘導因子 / マクロファージ / 腫瘍壊死因子 / インターロイキンー6 |
Research Abstract |
癌細胞を分化誘導し、造腫瘍性を低下喪失させ、脱癌化を導く研究が新しい癌治療法の一つとして注目されている。本研究ではヒト骨髄性白血病細胞のin vitro培養系で癌細胞をマクロファージ方向に分化させるタンパク性因子をヒト線維芽細胞培養上清から精製し、その性状を明らかにした。また単離した因子の分化誘導作用を増強する方法を検討した。 ヒト胎児肺由来の正常二倍体線維芽細胞WIー38の培養上清に単球性白血病細胞のVー937,THPー1細胞をマクロファージ様細胞に分化誘導する活性を見い出し、精製を進めてきた。しかし、WIー38は増殖能が低く、細胞に寿命があるため大量の培養液を得ることが困難であった。そこでWIー38をSV_<40>でトランスフォームしたWIー26VA4細胞を用いて線維芽細胞由来の分化誘導因子(FーDIF)の精製を行った。濃縮培養液から、micro bead silicagel、hydroxyapotiteカラム、ゲル濾過、等電点電気泳動、逆相HPLCで精製した因子はSDS-ゲル電気泳動で単一なバンドで、分子量27,000であった。ゲル濾過法で得られた分子量も25,000〜30,000であり、この因子はモノマーで生理活性を発揮するものと思われる。N末端部分のアミノ酸配列の解析の結果、N末端のprolineが欠落している以外はinterleukin-6(ILー6)と一致した。ILー6は分子量21,000と発表されているが、付加した糖鎖の違いにより分子量が異なっている可能性がある。FDIFは単独で単球系のUー937とTHPー1細胞の分化を誘導したが、骨髄系のHLー60、MLー1細胞に対しては分化誘導作用を示さなかった。しかし、TNFと併用すると相乗的に分化が誘導されるようになった。Uー937細胞においてFーDIFと種々のサイトカインを併用すると、ILー1、ILー4、GMーCSF、IFNーγ、TNFが相加ないしは相乗的な効果を示した。分化誘導の作用機序は不明であるが、サイトカインの併用により相乗的に分化が誘導されるという事実は、制癌という観点から注目される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Takeda: Biochem.Biophys.Res.Commun.145. 24-31 (1988)
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[Publications] R.Kamijo: Biochem.Biophys.Res.Commun.158. 155-162 (1989)
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[Publications] 武田健: Biotherapy. 2. 66-70 (1988)
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[Publications] 細井俊子: Oncologia.
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[Publications] K.Takeda: "Tumor Necrosis Factor,Cachectin and Related Cytokines" Karger, 275 (1988)
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[Publications] T.Hosoi: "ISIR Meeting on the Interferon and Cytokines" (1989)