1988 Fiscal Year Annual Research Report
重複疾患(筋ジストロフィー症-小人症)マウスの筋病態
Project/Area Number |
61571086
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
戸塚 武 愛知県発達障害研究所, 生理学部門, 研究員 (20100167)
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Keywords | 筋ジストロフィー症 / 小人症 / マウス / 成長障害 / 骨 / 筋 / 食道 / 舌 |
Research Abstract |
筋ジストロフィー(dy)マウス(C57BL/6J-dy株のdy/dy個体)の発症機構として、筋-骨不均衡仮説を提唱してきた。この仮説を支持する事実が、今年さらに、いくつか見つかった。 1.背が低い程dy症状が軽い(ヒトでZatzら;イヌでValentineら)。 2.dy鶏の筋節長は異常に長い(Ashmoreら)。 3.正常成鶏で、筋の引き伸ばしによりdy様筋病変が誘起される(Ashmoreら)。 4.骨に付着していない横紋筋線維にはdy筋病変が認められないことを、昨年の舌筋に続いて、今年は食道筋で証明した(本研究)。 摘出した食道(上部)を液体窒素-イソペンタン中で瞬間凍結し、横断切片のHE染色像を光学顕微鏡で観察した。dy筋病編である筋線維径の大小不同や中心核の異常増加がほとんど認められず、dyマウスの食道筋線維はほぼ正常であった。dy食道の筋線維径に大小不同が認められないことは、コンピュータに接続したディジタイザを使って定量的研究でも確かめた。 筋病変の発生機序に関しては、今年は筋線維の縦裂について、次のことを明らかにした。 1.特別太い或いは細い筋線維に好発する傾向はない。 2.縦裂に伴って断面積が減少する傾向はない。 3.極端な不等分割的傾向はない。これらの結果から、dy筋線維の縦裂は、一般に信じられてきた変性的現象はなく、筋-骨不均衡による二次的現象であることが強く示唆された。因に、運動生理学の分野で、スポーツ、トレーニングによる筋の肥厚に際して、縦裂による筋線維数の増加現象があることが報告されている。筋線維の縦裂は、必ずしも病的現象ではないのである。 ヒトDuchenne型dy症の責任蛋白質として最近話題のdystrophin研究も、残念ながら、その行方は未だ不透明である。ただ、筋線維表面膜の機械的強度を高めるような構造的蛋白質だろうという説も提出されていて、筋-骨不均衡仮説との関連性が注目される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Totsuka,;I.Uramoto: J.Physiol.Soc.Japan. 50. 533 (1988)
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[Publications] T.Totsuka: Neurosci.Res.Suppl.7. S63 (1988)
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[Publications] 戸塚武、渡辺貴美、長浜眞人: 愛知県発達障害研究所年報. (1989)
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[Publications] 渡辺貴美、戸塚武: 愛知県発達障害研究所年報. (1989)
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[Publications] 日高輝明、丸山直亮、水谷隆治、戸塚武: 愛知県発達障害研究所年報. (1989)
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[Publications] K.Watanabe,;I.Uramoto,;T.Totsuka: Neurosci.Res.(1989)