1986 Fiscal Year Annual Research Report
各種遺伝性疾患由来のリンパ芽球培養細胞株における染色体不安定性についての検討
Project/Area Number |
61571089
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池内 逹郎 医科歯科大, 難治疾患研究所, 助教授 (90041839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 光明 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (60182789)
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (40000971)
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Keywords | リンパ芽球細胞株 / 染色体異常 / 高発癌性〓性遺伝病 / 家族性大腸ポリポーシス / 多内分泌性腺腫瘍症第2型 / 染色体のfragile sites |
Research Abstract |
各種遺伝性疾患の本態を究明するための試料供給源として、EBウィルスを媒介として樹立されるリンパ芽球細胞株(LCL)の需要が最近とみに高まっている。LCLの維持と管理に関する有効な指針を得ることを目的として、継代培養されたLCLの細胞遺伝学的性状を検索して以下のような知見を得た。LCLの由来した疾患は、家族性大腸ポリポーシス(FPC)、多内分泌腺腫瘍症第2型(MEN2),染色体異常症,染色体fragile site(FS)保有者など。 結果:1.今年度新たに樹立できた細胞株は、FPCの17家系由来の53株,MEN2の3家系由来の16株,染色体異常症とその家族7株,染色体FS保有者の 株であった。 2.MEN2家系由来のLCL8株(株樹立後2〜18ケ月間培養)の染色体分析を行った。樹立後4ケ月以内では付加的染色体異常は出現しないが、6ケ月以上継代した細胞株のいずれにも5〜30%の細胞に染色体異常(数的及び構造異常)が観察された。異常の多くは数的異常で、とくにNos5,8,15,12染色体のトリソミーが多かった。染色体異常の出現時期や頻度はLCLの由来(年令,性別,患者由来か健常者由来か)とは無関係と思われた。 3.FS保因者由来の5株における付加的染色体異常として、No.12染色体のトリソミーが特異的に多いことが注目された。構造異常における再結合部位が各々の細胞株に特徴的なFSの位置と一致する知見は得られなかった。 4.FS保因者由来のLCLにおけるFS発現率は概して低かった。B-3株(Brdu要求性のFS:10g25)のみが20〜60%の頻度でFSが検出された。次年度の課題:1.上記の特異的な染色体トリソミーが出現した細胞株について、軟寒天培地中での増殖能、ヌードマウス可移植性を検索する。 2.FS保因者由来のLCLにおけるFS検出率を上げるための実験条件を確立させる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takeda,T.,et al.: Cancer Genetics and Cytogenetics. 21. 123-127 (1985)
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[Publications] Nishisho,I,et al.: Japanese Journal of Human Genetics. (1987)
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[Publications] 池内達郎: 蛋白質 核酸 酵素. 31. 1211-1225 (1986)
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[Publications] 池内達郎: 医学のあゆみ. 140. 59-61 (1987)
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[Publications] 池内達郎 他: 日本癌学会総会記事. 45. 212 (1986)
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[Publications] 池内達郎,山本興太郎: 組織培養. (1987)