1986 Fiscal Year Annual Research Report
エイコサペンタエン酸(EPA)の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
61571091
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金久保 好男 千葉大, 医学部, 教授 (30004873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤代 成一 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
中村 裕義 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
小林 悟 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
力久 忠昭 千葉大学, 医学部, 助教授 (70012622)
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Keywords | Eicosapentaenoic acid(EPA) / 赤血球変形能 / 赤血球膜浸透圧抵抗 / 重回帰分析 / 活性化エネルギー / 赤血球膜リン脂質中脂肪酸構成比 |
Research Abstract |
EPAの疫学調査の一環として、富山県氷見市の沿岸部住民23人、平均年齢41±65歳と山村部の住民21人、平均年齢39±50歳を対象に尿検査,血圧,身長,体重,血液レオロジー的因子,赤血球膜浸透圧抵抗(Coil Planet Centrifuoe法)と赤血球膜リン脂質中の脂肪酸構成比を測定した。両者間での比較では、赤血球変形能、赤血球膜リン脂質中の脂肪酸構成比(【C_(18:0)】【C_(18:1)】【C_(18:2)】【C_(20:5)】【C_(22:6)】)と赤血球膜浸透圧抵抗において有意差が認められたが、1981年と1983年に行った千葉県での疫学調査ほど著名な差は認められず、EPAだけで説明することは困難であった。そこで、全項目測定できた37名について、赤血球膜リン脂質中の脂肪酸構成比と赤血球変形能・赤血球膜浸透圧抵抗との関係について重回帰分析法により検討し、EPAの赤血球膜中での挙動を推測した。その結果、EPAは、赤血球膜中で他の脂肪酸と相互に影響しあい、赤血球膜流動性の増加と赤血球膜浸透圧抵抗の強化に関与し、膜を安定化していると推測された。 in-vitroにおいてEPA、アラキドン酸(A,A)とdocosahexaenoic acid(D.H.A)のethvl esterの粘度を20〜37℃で測定し、Andradeの粘度と温度の関係式よりみかけの活性化エネルギーを求め、3者を比較するとEPAが2.93、AAが3.38でDHAが2.98Kcal/molでEPAが最も低い値であり、流動性が約1.2倍よいことが考えられ、膜中でのEPA含量の増加は膜の流動性をよくさせると示唆された。 なお、赤血球膜リン脂質中におけるEPAの存在下での赤血球からのADP AAの放出に及ぼす影響について疫学調査、人での実験については検討中である。
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