1986 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病態骨格筋細胞膜におけるCaイオン及びKイオン動態の異常性について
Project/Area Number |
61571093
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木村 郁子 富山医薬大, 薬学部, 助教授 (70019131)
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Keywords | 糖尿病態骨格筋 / 静止膜電位 / 静止膜コンダクタンス / I-V曲線 / 【K^+】チヤネル阻害薬 / 活動電位 / Ca活動電位 / ベラパミル |
Research Abstract |
目的:糖尿病マウスの神経筋接合部は正常ddYマウスに比べ、脱分極性筋遮断薬サクシニルコリン(SuCh)に対して高い感受性を示す。その要因として筋膜の電気生理学的異常性に着目し、【K^+】,【Ca^(2+)】チヤネルの病態修飾を検討した。方法:微小ガラス電極法により、静止膜電茨(r.m.p.)を、アセチルコリン(ACh)を電気泳動的に投写することによりACh電位を、単一電極法を用いた電位固定法により膜コンダクタンス(gm)を、また細胞内通電により活動電位(a.p.)をそれぞれ測定した。 結果:(1)糖尿病マウスの横隔膜標本ではr.m.p.が浅くなり、gmが減少した。このr.m.p.の減少はアロキサン投与後の時間経過(W)と有意にに相関した。gmは血糖値(B.G.)の増加と有意に相関して減少した。gmはB.G.とr.m.pの両者に有意に重相関し、r.m.pはB.G.とWの両者に有意に重相関した。(2)a.p.の振巾減少し、持続時間が延長した。(3)糖尿病態では定常状態の電流(I)-電圧(V)曲線の勾配が正常状態に比べて減少した。(4)【K^+】チヤネル阻害薬のテトラエチルアンモニウムやCsClのgm減少作用が糖尿病態では小さくなった。Cl-freeの条件下でも糖尿病態の方がgmは小さくなった。(5)糖尿病態では、【Ca^(2+)】a.p.の振巾と持続時間が正常状態に比べて、有意に小さくなった。同時に【Ca^(2+)】拮抗薬であるベラパミルによる拮抗度合が小さくなった。 結論:糖尿病態ににおける骨格筋の細胞膜では、r.m.p.の減少はWとの相関度合が大きいので、インスリンの生長因子としての作用に関係している。gmの減少は、B.G.との相関度合が大きいので、膜のglycosylationに依存していると考えられた。そのgmの減少は【K^+】チヤネルの損傷で説明できた。一方、【Ca^(2+)】a.p.の変化から、糖尿病態筋において細胞内【Ca^(2+)】濃度の増大を裏付けた。結局、糖尿病態において、【K^+】と【Ca^(2+)】の両チヤネルが修飾損傷を受けていると結論できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ikuko Kimura;,Tomoko Nakamura;,Masayasu Kimura: Diabetes.
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[Publications] Masayasu Kimura;,Ikuko Kimura;,Tomoko Nakamura: Japan.J.Pharmacol.