1986 Fiscal Year Annual Research Report
老化によるアドレナリン受容体の変動とその生理的反応との関連
Project/Area Number |
61571097
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
大鹿 英世 札幌医大, 医学部, 教授 (50045358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 篤 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50166196)
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Keywords | 老化 / 【α_1】-アドレナリン受容体 / 〔【^3H】〕inositol phosphates / 【K^+】放出 / ラット耳下腺 |
Research Abstract |
老化に伴い唾液分泌能が低下することは古くから指摘されており、その原因の一つとして神経伝達物質受容体の感受性変化が想定されている。昭和61年度において本研究は、老化に伴う唾液分泌能とアドレナリン受容体結合活性との関係を、Wistar系雄性ラット(生後2,12,24ケ月令)の耳下腺(切片,粗膜画分)を使用し検討した。 1.【α_1】-受容体刺激による組織切片からの【K^+】放出能:切片からのnorepinephrine刺激による【K^+】放出効果は、成熟ラット(2ケ月令)に比べ老化ラット(12,24ケ月令)で有意に減弱していた。 2.【α_1】-受容体刺激による〔【^3H】〕myo-inositolからの〔【^3H】〕inositol phosphatesの産生能:norepinephrine刺激による切片での〔【^3H】〕inositol phosphatesの産生は、成熟ラットに比べ老化ラット(12ケ月令)で有意に減弱しており、24ケ月令では更に著しい減弱がみられた。Norepinephrineの[【^3H】]inositol phosphates産生の【EC_(50)】値は、成熟ラットに比べ老化ラットで有意に低下していた。 3.細胞膜分画における〔【^3H】〕prazosin結合能:粗膜標本における〔【^3H】〕prazosin結合性は、成熟ラットに比べ老化ラット(12ケ月令)において結合親和性を変化させることなく結合部位数の有意な増加がみられた。更に24ケ月令においては、結合親和性の低下と結合部位数の有意な増加が認められた。 老化に伴う唾液分泌能(【K^+】放出)の低下は、その受容体結合活性の変化だけでは説明できず、むしろ受容体情報伝達系の変化を反映した結果と考えられ、老化ラット耳下腺【α_1】-アドレナリン受容体はphosphoinositide代謝機構と正常にcoupleしていないものと思われる。現在この現象が、唾液腺に限局した変化であるか否かを、老化ラット大脳皮質並びに心血管系【α_1】-アドレナリン受容体についても検討中である。
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[Publications] Atsushi Miyamoto: Mechanisms of Ageing and Development.
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[Publications] 大鹿英世: 日本臨床. 夏季増刊. (1987)
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[Publications] Atsushi Miyamoto: Japanese Journal of Pharmacology. 42. 63-70 (1986)