1986 Fiscal Year Annual Research Report
カブトガニG系凝固因子を用いた真菌血症診断法の確立
Project/Area Number |
61571116
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大林 民典 自治医大, 医学部, 講師 (60102266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 忠 自治医科大学, 医学部, 教授 (60048957)
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Keywords | カブトガニ凝固因子 / G因子 / (1→3)-β-D-グルカン / 真菌多糖 / 真菌血症 |
Research Abstract |
カブトガニの血液凝固機構には、グラム陰性桿菌細胞壁外膜の構成々分であるエンドトキシンによって活性化される経路と真菌細胞壁の構成々分である(1→3)-β-D-グルカンによって活性化される経路とがある。このうち後者の経路に関与する凝固因子を利用して、真菌感染症の診断に役立つ新しい臨床検査法を開発しようとするのが本研究の目的である。このため、カブトガニ血球抽出液をデキストラン硫酸セファロースCL6Bカラムで分画精製し、(1→3)-β-D-グルカン感受性のG因子とproclotting enzymeを取り出し、これに合成基質Bac-Leu-Gly-Arg-pNAを加えてグルカン定量用試薬とした。本試薬は、市販の(1→3)-β-D-グルカンに対して良好な直線性を示し、感度(pglmlオーダー)・再現象とも良好であった。また本試薬が実際に、Candida albicans・Microsporum canis・Trichophyton rubrum・Aspesgillus fumigatusなどの真菌多糖と反応することを示した。さらに、血液に添加したグルカンも、過塩素酸で前処理することにより、良好な回収率がえられることを確かめ、本法が血液検体にも適用できることを示した。ついで血液培養または剖検で全身性の真菌感染症が確認された若干の症例の血液検体に対して本検査をおこない、(1→3)-β-D-グルカン様物質が高濃度に存在することをあきらかにした。以上のごとく、本法は真菌血症の診断にきわめて有望であり、今後さらに症例を重ねて、新しい臨床検査法として確立してゆきたい。問題点としては、市販の(1→3)-β-D-グルカンの純度が一定でなく、したがって一定の検量線がえられないことである。この点に関しては現在、市販をさらに精製して純度を一定にする一方、臨床的にもっとも頻度の多い(Candida albicansの細胞壁多糖を抽出精製して、標準物質としてつかえるかどうか検討を加える予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.OBAYASHI et al.: Infection and lmmunity. 53. 294-297 (1986)
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[Publications] 大林民典,織田敏次監修: "エンドトキシン研究の新しい展開" 羊土社, 213 (1986)