1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61571129
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
北島 政樹 杏林大, 医学部, 助教授 (90112672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 一郎 杏林大学, 医学部第1外科, 助手
平野 寛 杏林大学, 医学部第2解剖, 教授 (10086481)
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Keywords | ストレス潰瘍 / 粘膜血流 / 動静脈吻合 / 粘膜防御機構 / 細胞増殖帯 / レクチン / 細胞回転 / 壁細胞 |
Research Abstract |
ストレス潰瘍の発生機序として攻撃因子である酸・ペプシンに求められていたが、粘膜血流を中心とした胃粘膜防御機構の破綻に注目し、研究が行われた。ストレス状態下における粘膜血流動態について水素ガス電解式血流計によって測定が行われた。その結果、ストレス負荷後早期(2,5時間)に粘膜血流の有意な減少が認められた(pc0.01)。この減少も24時間経過すると改善された。このような血行動態の変化には多くの調節因子が関与しており、胃壁に存在する動静脈吻合もその1つであり、存在,機能について多くの討論がなされてきた。そこで今回、動静脈より2色のマイクロフィル(MV-117,MV-122)を注入し、動静脈吻合の存在が想定されている粘膜下層を中心に、その透微標本を実体顕微鏡で観察した。その結果、粘膜血流の減少するストレス負荷早期に粘膜下層に直径80μにおよび動静脈吻合が観察された。この血行動態の変化と形態的所見を総合判断すると動静脈吻合がストレス状態での粘膜血流を調節していることが想定された。 次に粘膜防御因子である粘膜層の細胞回転についてレクチン(糖結合性蛋白質)の結合部位を同定した。7種類のレクチンの内、胃粘膜に親和性の高いPNAを用いて検討すると、対照群では細胞増殖帯を中心にレクチン結合部位が観察されたが、ストレス早期の血流減少時期では結合部位が細胞増殖帯の上、下に延び、細胞回転の増強を示唆した。さらに結合部位を細胞レベルで検討するために電顕像を観察したところ壁細胞の分泌細管,微絨毛および管状小胞系に認められた。この成績より壁細胞は酸分泌という攻撃作用のみならず、防御機構の一端を担う細胞であることが確認され、粘膜血流を含め、ストレス潰瘍発生については粘膜防御機構の重要性が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 北島政樹: 基礎と臨床. 20. 407-415 (1986)
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[Publications] 北島政樹: 最新医学. 41. 2790-2795 (1986)
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[Publications] 北島政樹: "胃潰瘍と防御因子" 松尾裕,土屋雅春, 10 (1986)
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[Publications] 北島政樹: "胃潰瘍と防御因子" 松尾裕,土屋雅春, 9 (1986)
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[Publications] 北島政樹: "胃酸分泌機構と壁細胞受容体拮抗剤" 大江慶治,早川滉, 15 (1986)
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[Publications] Kitajima,M.: "New Trends in Peptic ulcer and Chronic Hepatitis" International Committee of JSGE., 7 (1987)
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[Publications] 北島政樹: "胃のサイトプロテクションとその周辺" 竹本忠良,小林絢三, 10 (1986)
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[Publications] 北島政樹: "消化性潰瘍の新しい展開" 長尾房大,川井啓市,北島政樹,中村紀夫,三崎文夫, 14 (1986)