1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61571129
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Research Institution | School of medicine, Kyorin University. |
Principal Investigator |
北島 政樹 杏林大学, 医学部外科, 助教授 (90112672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 一郎 杏林大学, 医学部外科, 助手
平野 寛 杏林大学, 医学部解剖学, 教授 (10086481)
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Keywords | ストレス潰瘍 / 胃粘膜血流 / H_2受容体拮抗剤 / 迷走神経切離術 |
Research Abstract |
ストレス潰瘍の発症には粘膜血流、粘液を中心として胃粘膜防御機構の破綻が起こり、二次的にH^+イオンの逆拡散が惹起され潰瘍を発生させることが実験的に証明された。これらの発症の病態生理の成績を基にして、第2段階としてストレス潰瘍出血に対する治療法について検討した。従来の実験方法(30%熱傷を背部に負荷)にてストレス潰瘍を発症させた後、内科的治療法としてH_2受容体拮抗剤投与群、外科的治療法として迷走神経切離術群の2群についてその治療効果を検討した。 効果の指標として1)粘膜血流の測定ー水素ガスクリアランス法ー、2)微細血管構築像の観察ー2色マイクロフィル注入法ー、3)内視鏡的観察、4)実体顕微鏡による生体胃粘膜観察を用いた。まず粘膜血流において迷走神経切離術群はH_2受容体拮抗剤群に比べて有意に血流の減少を認めた。 胃微細血管構築像では粘膜血流の減少に一致して真性毛細血管の密度は減少し、血流の低下を示唆した。さらに胃内視鏡観察によると迷走神経切離術群ではストレス潰瘍の治癒はH_2受容体拮抗剤群に比べて出血病変の残存など遅延し、治療法の優劣が認められた。 即ち迷走神経切離術は攻撃因子である酸、ペプシン分泌の低下は認められるものの粘膜血流を惹起し、逆にH_2受容体拮抗剤は酸、ペプシン分泌の低下、粘膜血流の増加という胃粘膜に対しdual actionを示し、ストレス潰瘍の治癒を促進したものと思われた。 以上の実験成績を基に出血性ストレス潰瘍の治療法として第一選択としてH_2受容体拮抗剤などによる内科的治療を行い、効果が得られない時には外科的治療を行うが迷走神経切離術のような防御因子に対し悪影響を及ぼす方法は行わず、出血巣を完全に切除するという胃亜全摘術を臨床において行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 北島政樹 他: 外科診療. 59. 510-516 (1988)
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[Publications] Kitajima,M.;et al.: J.Clin.Gastroenterol.10. 120-128 (1988)
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[Publications] 北島政樹 他: 消化器内科. 3. 1387-1396 (1988)
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[Publications] 北島政樹 他: 臨床成人病. 18. 38-43 (1988)
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[Publications] 北島政樹,木内立男,酒井憲孝: "胃粘膜防御の仕組み、あゆみと展望" 竹本忠良,小林絢三,北島政樹, 67-78 (1988)
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[Publications] Kitajima,M;et al.: "Microcirculation an update" Tsuchiya,M;et al., 225-228 (1988)