1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東辻 浩夫 岡山大, 工学部, 助教授 (40011671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 淳 岡山大学, 工学部, 助手 (60116499)
古谷 洋一郎 岡山大学, 工学部, 教授 (70108124)
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Keywords | 高温高密度プラズマ / 輻射輸送 / 制動放射 / 自由・束縛遷移 / 放射係数・吸収係数 / 軟X線 |
Research Abstract |
高温高密度プラズマ中のエネルギー輸送には電子による熱伝導と共に輻射輸送が重要な寄与をする。例えば1KcV程度のプラズマでは輻射は主に軟X線領域にある。一方、レーザー核融合で実現されると予想されている様な高密度プラズマでは、イオン間,イオン・電子間,及び電子間に強い相関がある。これらの相関は輻射過程に影響し、放射係数・吸収係数は稀薄なプラズマとは異った値をもつ。今年度は輻射過程のうち、制動放射と自由・束縛遷移について以下の研究を行った。 1.イオン混合物におけるイオン電荷の揺動スペクトルを積分方程式と数値実験により求め、イオン混合物中の制動放射の確率を、一成分イオン系の結果により簡単な内挿式の形に表した。これは電荷の平均及び自乗平均と一成分系の輻射確率で混合物中の輻射確率を与えるものである。 2.非常に高密度の場合を除いて、プラズマ中の電子はイオンの電場を遮蔽する。遮蔽による制動放射過程の放射・吸収係数の変化を解析した。イオンの電荷数が比較的小さい場合には、電子系の分極を線形応答により表す事ができ、誘電応答関数を用いて輻射確率を計算できる。遮蔽の直接の結果として確率は減少する。一方、イオン間の相関も遮蔽により減少し、これは確率を増加させる。これら2つの効果がほぼ相殺する事が分かった。次に、電荷数が大な場合には電子の非線形応答を考慮しなければならない。この研究では、プラズマ中のイオンのまわりの電子を統計モデルによって記述して電子分布を求め、輻射確率を求めた。非線形な遮蔽は線形応答による結果より若干小さな値を与える。 3.自由・束縛遷移に対する高密度効果を求める為、まずイオン間の相関の影響を解析した。結果として、イオン間相関は輻射確率を増加させることが分かった。 4.束縛・束縛遷移に関連した、プラズマ中の原子の電子状態の予備的検討を行った。今後、特に3、4について更に研究を進める。
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[Publications] H.Totsuji: Memoirs of the School of Engineering,Okayama University. 21. 45-54 (1986)
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[Publications] H.Totsuji: Proceedings of the Workshop on Strongly Coupled Plasma Physics,Santa Cruz,Aug.4-9,1986.(1987)
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[Publications] H.Totsuji: IPPJ-AM(Institute of Plasma Physics,Nagoya University). (1987)