1986 Fiscal Year Annual Research Report
マウスコロニーにおけるロタウイルスの伝播と感染持続に関する研究
Project/Area Number |
61580036
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
太田 千佳子 帯広畜産大, 畜産学部, 助手 (10176894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 仁 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (20003072)
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Keywords | ロタウイルス / マウス乳児下痢症 / ELISA / 実験感染 / マウス / 血清抗体 |
Research Abstract |
マウス乳児下痢症は実験用マウスに見られる疾病で、哺乳マウスの生育を著しく阻害することが、古くから知られている。マウス乳児下痢症の病因としてロタウイルスが同定されたのは比較的新しく、その為ウイルス学的検討は余り進んでいない。最近、人や各種家畜でロタウイルス性下痢症が注目されるようになり、マウスでもロタウイルス性下痢症の意義を解明することは興味ある主題となって来た。本研究は、未だ不明な点の多い、マウスコロニーにおけるロタウイルスの伝播と持続の様式について検討し、将来の予防対策の基礎資料を得ることを目的としている。初年度は、以下の2つの研究を行った。 第1に、マウスコロニーにおけるロタウイルスの伝播について血清疫学的調査を行うための、酵素抗体法(ELISA)の確立を行った。その結果、サルロタウイルスSA11株を抗原として、マウス血清中の抗ロタウイルス抗体の測定が可能となった。現在、北海道内の4つの実験動物施設から採取したマウス血清について、抗体調査を進めている。 第2に、マウス乳児に対するロタウイルスの感染実験を試みた。サルロタウイルスSA11株感染実験では、発症が見られるばかりでなく、接種ウイルス量の低下、またマウス日齢の上昇に伴い、不顕性感染の成立することが、糞便中にウイルスの排泄されることから明らかになった。またヒトロタウイルスの感染実験では、発症例は認められないが、わずかながら糞便中にウイルスの排泄が認められる例があった。これら不顕性ウイルス保菌者は、ウイルスの伝播に重要な役割りを果たすものと予測され、さらに検討する予定である。
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Research Products
(1 results)