1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580044
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
菊地 建機 国立精神・神経センター, モデル動物開発部, 部長 (80005628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 文広 国立精神, 神経センター・モデル動物開発部, 室長 (30107429)
花岡 和則 国立精神, 神経センター・モデル動物開発部, 室長 (40189577)
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Keywords | 筋ジストロフィー症 / 鶏 / 動物モデル / 矮性遺伝子発現 / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
変更遺伝子は遺伝子の相互作用によって, 他の遺伝子座にある遺伝子の形質発現に影響を与える遺伝子である. この遺伝子は他の遺伝子の形質発現を強調したり, その突然変異性を増加させたりする強調遺伝子と, 他の遺伝子の働きを弱めたり, その働きを完全に折えてしまったりする抑制遺伝子や抑圧遺伝子とに分けられる. 筋ジストロフィ(以下筋ジスと略)矮性鶏は, 2種の遺伝子, すなわち筋ジス遺伝子(am)と矮性遺伝子(dw)を有する. Z染色体上にあるdw遺伝子がホモまたはヘミ接合体の場合は, 常染区体上にあるam遺伝子に対して強調遺伝子として作用し, am遺伝子の発現を増大する. 従って, dw遺伝子を有する筋ジス矮性鶏浅胸筋の筋線維は萎縮, 消失し, さらに, それらと並行して脂肪組織の湿潤が顕著となる. 同様の結果はヘテロ鶏にdw遺伝子が導入された場合にもみられる. 14週齢において各品種の生体重と血中甲状腺ホルモン濃度を測定した. 血中thyroyine(T4)濃度は雄雌, 品種間で有意差は認められない. しかし, 血中tai-iodothyronine(T3)濃度は, dw遺伝子が導入されると正常値のほぼ半分に低下する. T_3値は正常矮性鶏と筋ジス矮性鶏との間で有意義はみられないが後者でやや低い傾向を示す. 鶏体を小型化するdw遺伝子の一義的形質発現の場は甲状腺ホルモンの低下であり, 筋レベルでの筋ジス発現はam遺伝子とホルモンとの相互作用の結果である. 甲状腺ホルモンは筋線維の収線蛋白や酸素反応に作用し, 過量のホルモンは筋線維を速筋へ分化させ, ホルモン濃度の低下は逆に筋線維を遅筋へと変換させることが知られている. 本研究結果はこの反映とも考えられるが, 今後詳しく検討する予定である.
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Research Products
(2 results)