1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580046
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
渡辺 慈朗 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (90006619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 茂夫 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (70006683)
今清水 雄二 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (90006677)
|
Keywords | 銅結晶 / 転位 / 溶解の速度論 / 二次元核形成 / 表面ステップ / 定電位電解 / エッチピット / インヒビター |
Research Abstract |
Cu結晶(111)面の刃状転位位置および基地表面の溶解速度に及ぼすインヒビターBr^-イオンの効果を調べた。電解液は、NaCl5kmol・m^<-3>、CuCl10^<-4>kmol・m^<-3>それぞれ一定とし、NaBrを0.1、0.25、0.4、0.5kmol・m^<-3>に変えた。温度298Kの下で過電圧176mVを印加し、種々の時間定電位腐食を施した。得られた結果は次の通りである。 1.浸漬(平衡)電位はNaBr濃度を増すと低下した。電流一時間曲線は電解初期に急減し、極小値をとった後増大する傾向を示す。初期の極小値はNaBr濃度とともに小さくなり、高濃度側でやや増大した。 2.刃状転位位置に形成されるピットはNaBr濃度が高いほど二次元形状のふくらみが小さく、また側面はなめらかになる傾向がある。 3.転位ピットの幅h、深さdおよび基地溶解深さsは腐食時間tとともにほぼ直線的に増大した。 4.転位ピットの側面傾斜d/hはtとともに減少する傾向を示す。長時間側におけるその大きさはNaBr濃度の増加とともに増大したのち一定になる傾向がある。 5.転位ピットの寸法および基地溶解深さの増大速度〓、〓および〓より求めた転位線に垂直な水平溶解速度Uh、転位線に沿う垂直溶解速度Udおよび基地溶解速度Usは、NaBr濃度の増大とともに減少し、高濃度側ではやや増大する傾向を示す。 6.溶解速度のNaBr濃度増加に伴う減少の割合は、UsおよびUhが比較的大きいのにくらべてUdは小さい。 以上の結果は二次元核形成による結晶溶解の速度式において、ステップの移動速度係数および結晶-溶液界面エネルギーに及ぼすBr^-イオンの吸着効果ならびに化学ポテンシャル差の変化を考慮することにより説明されることを示した。
|