1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580063
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
竹井 瑶子 阪教育大, 教育学部, 助教授 (30017248)
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Keywords | 焙焼香気 / 鶏卵 / レシチン / フラン化合物 / 焙焼菓子 / アルギニン / グルコース |
Research Abstract |
焙焼菓子に鶏卵を用いる場合はかなり多く、これは卵泡の利用ばかりでなく、風味向上の目的でも使用される。そこで、鶏卵のどのような成分が好ましい風味形成に役立つのか、香気に着目して検討した。鶏卵を卵黄、卵白に分けると、卵黄の方により好ましい作用があると思われたので、卵黄を溶媒抽出法により、中性脂質画分(26%)、蛋白質画分(17%)、リン脂質画分(10%)、及びその他の少量づつの4画分に分画した。これらの画分についてグルコースを加えて焙焼テストを行なったところ、蛋白質画分とリン脂質画分が好ましい香気を有していた。また、蛋白質画分にリン脂質画分や中性脂質画分を加えると香気発生が早まり、匂いも強くなった。リン脂質画分と中性脂質画分をカラムクロマトグラフィーにより精製し、リン脂質画分からは14のフラクションの内2つのフラクションのフォスファチジルコリン(レシチン)を、中性脂質画分からは13のフラクションの内4フラクションのトリグリセライドを得た。各フラクションの純度は薄層クロマトグラフィーにより確めた。そして、蛋白質画分をアルギニンで、リン脂質画分をレシチンフラクションで、中性脂質画分をトリグリセライドフラクションで代替し焙焼テストを行なった。これら合計13種の焙焼テストで得られたヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフィーにより、1種につき3回づつ分析した。焙焼条件は160℃で最も好ましい香りとなるまでの時間とした。主な3種については、窒素ガススウィープ法により香気を採取し香気濃縮物を調製してガスクロマトグラフィー質量分析法を行い、各成分の同定を行った。その結果フラン化合物9種を含む22種の化合物が同定された。また、鶏卵を加えた菓子香らしい好ましい甘い香りには卵黄蛋白質画分とり2脂質画分の寄与が大きいが、アルギニンや精製レシチンでは代替できず、脂質は精製されても、中性脂質でも、香気の生成を高める事が判った。
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