1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61580065
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
河合 弘康 奈良女大, 家政学部, 教授 (80026525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 金次 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (20031643)
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Keywords | 冷凍耐性酵母 / 耐糖性酵母 / Saccharomyces rosei / 冷凍耐性酵母の検索 |
Research Abstract |
1.自然界から冷凍耐性酵母の検索とその同定 酵母の冷凍耐性と耐浸透圧性とが、共にその細胞膜の機能に関して共通性を持つことから、まず自然界から耐糖性酵母菌を検索し、その中から冷凍耐性菌を選抜することを試みた。各地から採取した土壌,水,果実,各種発酵食品などを分離源として、高濃度ショ糖培地中で生育できる酵母菌の検索を行い、32株の耐糖性酵母を取得した。つぎに、それらの中から液内発酵力およびパン生地発酵力の強い3株を選択し、その冷凍耐性(-30℃で1週間冷凍貯蔵後の生地発酵力)を調べた結果、NO.23,NO.25の2株に優れた冷凍耐性が認められた。両菌株の形態的特徴、培養的および生理的諸性質などから、両菌株ともSaccharomyces roseiに近縁の酵母であろうと推定した。 2.保存菌株からの冷凍耐性酵母の検索 耐糖性の強いS.roseiが耐冷凍性をもつことが報告されている。そこで研究室保存の同種4菌株の冷凍耐性を調べた結果、S.rosei IFO1129株に強い冷凍耐性が認められた。すなわち、本菌株は生地の凍結に先立って行われる前発酵処理によって解凍後の生地発酵力が凍結前の発酵力よりむしろ増大する特徴を示し、前発酵2時間までは時間の増加とともに解凍後の発酵力が増大した。また、同菌の液内凍結および生地凍結貯蔵中での細胞の生残率の変化を、パン酵母S.cerevcsiaeのそれと比較検討した結果、貯蔵日数の増加に伴ってパン酵母は急激に生残率が低下するのに対し、S.roseiの生残率の低下は極めて緩慢であった。現在、S.roseiから誘導した栄養要求性変異株を用いてプロトプラスト融合を行い、融合体雑種の中から親株より優れた冷凍耐性をもつ菌株の検索を試みている。
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