Research Abstract |
62年度に実施した調査項目を大別すると, 2つにまとめられる. すなわち, 体格・体力に関する調査と資料の収集であり, いま1つは学校生活の中での運動量(心拍数で観察した)の調査である. (これらの結果については日本体育学会で口答発表を行った) 新たに得た知見としては以下のようにまとめられる. まず, 昭和56年度を基準(100%)として61年度までの児童生徒の体格・体力の変動(同一学年の比較)についてみると, 身長, 体重ともに小, 中, 高, 男女すべて正の相関を示し, 小学生身長の係数(男子0.44, 女子0.40)が最も高い. 比体重では高校生が, 男女別では男子の係数が高い. つまり, 身長, 体重とも全体的に大きくなってきているが, 学校種別では高校生, 男女別では男子の体重の増加率が他より高く, 肥満傾向が伺えた. 次に体力は体格の場合と全く逆の傾向を示している. すなわち, 全体的に負の相関を示し, 年度がすすむほど同一学年の体力は低下する傾向にあるということである. 男女とも学校種別では小学校の低下が最も少なく, ついで中学校, 高等学校の低下率が最も大きい. 男女の比較では小学校を除き女子が大きい. 56年度を100%として, 低下率を算出する数式を求めるとy=-0.338×(高校男子), y=-0.626×(高校女子)が導き出された. また, 走・跳・投の体力因子別では全体的に同じ傾向を示し, 走, 跳, 投の順に低下率は高くなった(中・高, 男女総合:走-0.401, 跳-0.500, 投-0.639). 運動量の観察は「体育の授業がある日」と「ない日」について始業前から放課後までを行った. その結果「ない日」には心拍数100を越えることは殆どなく, 授業の重要さを痛感した. しかし, 中には体育の授業中でも他の科目の授業と運動量が変らないものもあり, 体育の授業の在り方にも問題があることもわかった.
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