Research Abstract |
1)昨年度の実績報告書にも記したように, リボヌクレアーゼRhの結晶化は成功し, 今年度は本格的な結晶構造解析を目指して, 回折強度データの収集を開始し, Native結晶の非常に良好な回折データ(Rsym<2%)を得ることができた. 2)引続き, 重原子同型置換体の探索を開始し, 多数の試薬溶液に浸漬した後, 回折実験を行った結果, 3種類の試薬が有効な重原子同型置換体を与え得ることを発見した. その中の2つK_2Pt(SCN)4, K_2PtCl_4置換体の回折データを, 4軸自動回折系を用いて収集することができた. これらのデータとNativeデータとの差のパターソン関数を計算して, 解析のキーポイントとなる重原子の位置の決定を試みた. 3)その結果, 前者の置換体について, その解釈が現在成功しつつあり, 最小2乗法による位置の精密化を開始し, 良好な結果が得られつつある. もう一つの置換体の重原子位置の決定ができるか, 異常分散効果を利用すると, 電子密度図を得ることができ, 立体構造の決定につながっていく. 4)Rhの一次構造は, 入江らによって, 従来法と遺伝子工学的手法をあわせることによって, 完全に決定された. その結果から, RNase T_2やMとのホモロジーは高く(T_2とは65%の相同性あり), また10個存在するCys残基はすべて保存されており, さらにHis46とHis109(活性に関与されているとされている)も保存されている. これらより, Rhの構造は, これらグループの代表となるものであり, 構造決定の重要性はさらに増したといえる. また, Site directed Mutagenesisによる酵素も使った, X線解析も, このリボヌクレアーゼRhに対して行えるようになった.
|