1986 Fiscal Year Annual Research Report
リポ多糖感受性セリンプロテアーゼチモーゲンの活性化機構
Project/Area Number |
61580146
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 隆司 明薬大, 薬学部, 教授 (90128108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 貞昭 九州大学, 理学部, 教授 (90029942)
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Keywords | リポ多糖 / セリンプロテアーゼ / C因子 / カブトガニ血球 / 血球凝固反応 / 凝固カスケード機構 |
Research Abstract |
カブトガニ血球は微量のグラム陰性菌内毒素成分(リポ多糖,LPS)によって活性化され、血リンパ凝固を引き起こすが、この反応は無脊椎動物の血球がもつ異物侵入に対する重要な生体防御機構の1つと考えられる。我々はこれまで、血球に含まれる凝固因子の単離と構造解析を進め、この凝固反応が3種のセリンプロテアーゼ前駆体(C因子,B因子,凝固酵素前駆体)と凝固蛋白質(コアギユローゲン)の関与する4段階カスケード系からなることを明らかにしてきた。本研究は、この凝固カスケードのトリガーとなるLPSを介してのC因子活性化機序を明らかにするため、C因子と活性型C因子(【C!~】因子)の部分アミノ酸配列を決定し、活性化に伴なう構造変換を調べた。その結果、(1)従来2本鎖(H鎖とL鎖)として精製されていたC因子は血球中では1本鎖で存在すること。(2)H鎖はC因子のN【H_2】末端領域;L鎖はCOOH末端領域に位置すること。(3)H鎖のシスチン含量は異常に高く、多くの受容体に見られるシスチンクラスターの存在が示唆されること。(4)LPS存在下、L鎖の【phe^(72)】-【Ile^(73)】のペプチド結合が限定水解を受け、3本鎖(N【H_2】末端側からH鎖,A鎖,B鎖)【C!~】因子へと活性化されることが明らかとなった。一方、LPSとC因子の相互作用については、2本鎖C因子を部分的に還元アルキル化してH鎖とL鎖に分別し、LPSとの反応部位を同定したところ、H鎖にLPSの結合部位の存在することがわかった。さらに、精製C因子を用い、合成リピドA,リン脂質,負電荷を帯びた異種表面などのC因子活性化能を検討した。その結果,C因子はリピドAのほか酸性リン脂質でも強く活性化されることが新たに判明した。しかし、血球抽出液そのものの酸性リン脂質によるクロット形成は起こらなかった。従って、血球抽出液中には酸性リン脂質と結合し、C因子の活性化を抑制する成分の存在が示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森田隆司: J.Biochem.97. 1611-1620 (1985)
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[Publications] 中村隆範: Eur,J.Biochem.154. 511-521 (1986)
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[Publications] 中村隆範: J.Biochem.99. 847-857 (1986)
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[Publications] 明田川純: J.Biol,Chem.261. 7357-7366 (1986)