1986 Fiscal Year Annual Research Report
プラスミドDNAのin vitro複製系による開始反応とその調節機構の解明
Project/Area Number |
61580165
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 和男 金沢大, 国立大学(その他), 助教授 (00019879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 重樹 金沢大学, 遺伝子実験施設, 助手 (40179130)
|
Keywords | プラスミド / DNA複製開始 / DNA結合性蛋白質 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
プラスミドpSC101によってコードされ、そのDNA複製開始に特異的に働く蛋白質(Rep)を遺伝子工学的手法により大量生産する系を開発し、この蛋白質の精製を行い以下の実験結果を得た。 1.プラスミドの複製開始領域DNAを鋳型にしてin vitroにおける転写産物を検出した。最も主要な産物はRep遺伝子のmRNAで、このRNA合成はRep蛋白質の添加によって強く抑制された。これはin vivo実験から推定されていたRep遺伝子の自己制御系を直接、証明したことになる。また、Rep蛋白質によって合成が促進されるRNA種も見い出され、これは現在同定を進めている。 2.Rep蛋白質の複製開始領域への結合をゲルシフト法,エキソヌクレアーゼ【III】処理法などで解析した結果、結合順序性が明らかとなった。そして、低濃度のRep蛋白質存在下ですでにRep遺伝子の発現の自己制御系は働き、この系から何んらかの形で抜け出たRep蛋白質が複製開始反応に働くべく開始領域に結合していることが示唆された。 3.複製開始頻度の上昇をもたらす変異Rep蛋白質を精製するため、まずその自己制御系を壊した上で強い転写プロモーターを接続、この蛋白質の大量生産系を作ることができた。この系より粗抽出液を調製、各種カラムクロマトグラフィーにより現在、70〜80%の純度の標品を得ることができた。一方、in vivo実験から、変異Rep蛋白質は自己のプロモーター領域への結合性が低く、その結果、自己制御系は依然働いてはいるものの、野生型の場合と比べて弱く、Rep蛋白質の合成レベルが上昇していることが示された。
|