1986 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイドホルモン産生における副腎皮質細胞層の役割
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61580169
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武森 重樹 広島大, 総合科学部, 教授 (60019461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 思郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10106776)
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Keywords | ステロイドホルモン / 副腎ミクロソーム / テトクロームP-450 / ステロイド17α水酸化酵素 / ステロイド21水酸化酵素 / 副腎皮質細胞層 |
Research Abstract |
モルモット副腎細胞層におけるミクロソ-4P-450分子種の局在と酵素活性の関係を明らかにするために下記の研究成果を得た。1.モルモット副腎はPeriodate-lysine-Paraformaldehydeで固定し、凍結切片上で酵素抗体法を施行し、電顕及び光顕で観察を行った。使用したペルオキシダーゼ標識抗体(抗P-【450_(17α)】lyase lgG Fabと抗P-【450_(C21)】 lgGFab)はウエスタンブロッティング法により、各々のP-450分子種に対してのみ反応することを確めた。2.細胞内局在:P-【450_(17α)】lyase及びP-【450_(C21)】はミトコンドリアなどの他のオルガネラには存在せず、滑面小胞体膜に局在することが認められた。3.細胞層における分布:P-【450_(17α)】lyaseは束状層と網状層に局在し、特に脂肪滴の多い外・束状層に強い染色性が認められた。しかし、球状層には全く染色が認められなかった。この結果は球状層の細胞においてコルテコステロンを経由して効率よくアルドステロンを合成することを支持する。一方、糖質,鉱質コルチコイド産生に必須のP-【450_(C21)】は皮質全層にわたって観察された。4.副腎を外層(球・束状層)と内層(網状層)に分け、それぞれの組織から調製したミクロソームを用いてマステロイド水酸化活性とP-450分子種の定量を行い比較解析した。21水酸化活性は内層において高い値を示し、これはP-【450_(C21)】の比含量の相対比によく一致した。一方、P-【450_(17α)】lyaseは外層に約1.3倍多く存在するが、17α水酸化及び【C_(17)】-【C_(20)】リアーゼ活性は外層で約5〜6倍高い値を示した。この結果から、副腎細胞レベルでのステロイドホルモン産生は単にP-450分子種の量比で支配されるものではなく、何らかの調節機構が働いている可能性が示唆された。また、外層ミクロソームのリアーゼ活性は内層に比べて約6倍高く、モルモット副腎ではアンドロゲンは主に束状層で生合成されると考えられる。更に、下垂体からのACTHが副腎皮質の各細胞層のP-450及び酵素活性に及ぼす影響を解析する予定である。
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