1986 Fiscal Year Annual Research Report
IgM-M蛋白と結合する末梢神経由来ウロン酸を有する糖脂質の機能に関する研究
Project/Area Number |
61580175
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
有賀 敏夫 臨床医総研, その他, 研究員 (50109948)
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Keywords | 形質細胞系異常症 / 末梢神経障害 / グルクロン酸含有特異糖脂質 / myelinassociated Glycoprotein(MAG) |
Research Abstract |
形質細胞系異常増殖症はM蛋白血症として知られている。多発性ミエローマ、原発性マクログロブリレ血症、H鎖病などが知られている。この病気で約1割弱は末梢神経障害を呈する。患者血清による診断では末梢神経由来のmyelin-associated glycoprotein(MAG)と強く反応する抗体が存在することが知られている。我々は末梢神経の脂質画分にもこの抗体を強く反応する糖脂質が2つあることを見い出し、それらの構造解析をした結果、今まで神経系を含め他の臓器でも殆んど報告されていない次の様にグルクロン酸の3位に硫酸基をもつ新しい構造の酸性糖脂質であることを明らかにした。即ち主成分はGlcUA(3-sulfate)β1-3Gal β1-4GlcNAc β1-3Gal β1-4Glc1-1´ceramide,微量成分はGal-GlcNAc unitの繰り返し構造をもつセラミドペプタサツカライドであった。これら酸性糖脂質の機能は全てわかっていないがMAGと共通抗原となることから糖鎖構造が重要な役割をもっていると推定される。この酸性糖脂質はヒトのNK細胞のマーカーであるマウスIgM単クローン抗体、HNK-1(Leu-7)とcross-reactした。抗MAGあるいは酸性糖脂質抗体がNK活性を抑制して免疫調節機能になんらかの影響すなわちM蛋白異常排池に関与していると推定される。(以上の結果をJ.Biol.Chem.に発表した。)この糖脂質はショ糖密度匂配による細胞分画法ではミニリン分画のみならず、Schwann細胞およびAxolema分画にも検出された。更に硬膜にも局在することが証明された。多発性ニユーロパチーではミニリンだけでなく軸索も障害されることから これら糖脂質は抗体のTargetとして重要であろうと推定された。また硬膜様な中枢葉由来の組織に存在することは、同じ中枢葉由来でBlood Brain Barrierを構築する血管内皮細胞にもこの糖脂質が局在する可能性を示唆している。(以上の結果をJ.Neurochem、に投稿し、受理された。)
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[Publications] 有賀敏夫,郡山達男,L.Freddo 他: Journal of Biological Chemistry. 262. 848-853 (1987)
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[Publications] 郡山達男,楠木進,有賀敏夫 他: Journal of Neurochemistry. 48. (1987)
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[Publications] 有賀敏夫: 医学のあゆみ. 140. 134 (1987)
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[Publications] 有賀敏夫: "末梢神経障害とグルクロン酸をもつ新しい酸性糖脂質-myelinassociated glycoprotein(MAG)との共通抗原-" 科学評論社, (1987)