1986 Fiscal Year Annual Research Report
高発がん性遺伝病患者由来細胞の放射線損傷DNA部値における異常DNA複製の意味
Project/Area Number |
61580177
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
渡辺 正己 横浜市大, 医学部, 助教授 (20111768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
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Keywords | DNA損傷 / DNA複製 / XPバリアント / 突然変異 / 発がん / UV損傷 |
Research Abstract |
[目的]本研究は、"紫外線照射されたXP細胞やX線照射されたAT細胞で見られる異常なDNA合成の昂進が、DNA損傷部位におけるトレランスを促進しDNA複製エラーを生ずる"とする作業仮設をたて、その仮設の真ぴょう性を検討し、これらの遺伝病患者の高発がん性と関連づけて解析することを目的として実施した。 [結果と考察]XPバリアント細胞(3種),ヒト胎児細胞(3種)およびヒト成人皮膚細胞(3種)の計9種のヒト由来細胞につき紫外線による突然変異(HGPRT遺伝子座)感受性を検討した結果、バリアント細胞はいずれも正常細胞にくらべ3-4倍高い感受性を示した。同時に、不定期DNA合成頻度(UDS)を指標に除去修復能を調べたところ、正常細胞とバリアント細胞で大きく異なり、正常細胞ではUV照射後速やかに行われ照射後1時間以内に終ってしまうが、バリアント細胞では開始が遅れ照射後4時間から8時間にかけてゆっくりと起きることがわかった。一方、UV照射後のDNA複製動態も両細胞で明らかに異なり、UV照射による【^3H】-チミジンの取込みを細胞標識率でみたDNA合成量の減少がバリアント細胞で顕著であるのに、正常細胞では殆どみられない。しかし、照射直後に起きるDNA複製動態をアルカリ溶出法で詳細に観察すると、バリアント細胞ではUV照射により低分子量(8×【10^6】ダルトン以下)から中間分子量サイズ(8-30×【10^6】ダルトン)への伸長が極端に促進されることがわかった。これら一連の結果から、バリアント細胞ではUV照射直後、UV損傷が十分に修復される前に昂進されるDNA複製が誤りを起こし易く、そのためその後のDNA複製を抑制しかつDNA損傷の修復を遅らせる原因になっている可能性を推察できる。今後は、異常昂進したDNA複製が、実際にどのように突然変異や発がんに関わるかを明らかにせねばならない。
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Research Products
(2 results)