1986 Fiscal Year Annual Research Report
M.luteusにおける新しいDNA修復機構の解明と致死性UV損傷の解析
Project/Area Number |
61580178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米井 脩治 京大, 理学部, 講師 (60093340)
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Keywords | Micrococcus luteus / DNA修復 / UVエンドヌクレアーゼ / ピリミジンダイマー / 化学変異原 / UV / DNA損傷 |
Research Abstract |
M.luteusの野生株(ATCC4698)からUV.4-NQOにそれぞれ高感受性の変異株を分離しその性質を調べた。これらの変異株はUV.4-NQOのみならず、マイトマイシンC,シスプラチン,ソラーレン架橋,アンジェリシン(ANG)などDNAにbulky adductを形成する薬剤に対しても野生株に比較して高い感受性を示した。多くの変異株は、UV照射したN6ファージに対する宿主細胞回復能をも欠損していた(Hc【r^-】)。このHc【r^-】型の変異株はX線やMMSに対しては野生株と同程度の感受性を示した。また、M luteusにはUV照射によってDNA上に生ずるピリミジンダイマーを特異的に認識するエンドヌクレアーゼ活性(UV-Endo)が存在することが分っているが、ここで分離した変異株の抽出液中にはこのUV-Endoの活性は正常に検出することが出来た。したがって、M.luteusにはUV-Endoの系以外に、E.coliのUVRABC exinucleaseと同様のbulky adductを修復する系が存在することが分った。このことは、次のin vivoの実験事実からも証明できた。野生株と、上記の変異株にANGを投与して近紫外光を照射した後、DNAのアルカリ性ショ糖密度勾配遠心パターンを比較すると、野生株では照射後の培養中に修復に伴うDNAのnickが検出できたが、変異株ではDNAのサイズに変化は見られなかった。この結果は、E.coliのUV【r^-】株のものとよく一致した。しかし、これらの変異株においてもUV照射後のDNAのnick生成およびピリミジンダイマー除去は野生株と同じように観察されること、ただし、G7株(UV-Endoも欠損)ではダイマー除去がほとんど無いことから、ダイマーはUV-Endoがあれば修復しうることが分る。すなわち、M.luteusにおいては、ダイマー以外に致死的効果をもたらすUV-DNA損傷が生じていることが示唆され、この実体について現在検討中である。
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